GSアライアンス、スイスと再生型リチウム電池の合意書を締結
GSアライアンス株式会社がスイス・イノベーション・パークと共同して、ブラックマスを活用した再生型リチウムイオン電池の製造及び研究開発に関する基本合意書(LOI)を結びました。加えて、今後はスイス・イノベーション・パークのネットワークを利用して、企業や大学などと連携しながらさらなる研究開発を進めていく計画です。これにより、スイスを拠点に欧州での製品の拡販と品質向上を図ることを目指しています。
ブラックマスは、リチウムイオン電池から得られるリサイクル素材で、コバルトやニッケル、マンガンなどの重要な金属を含んでいます。これらの金属は主にロシアや中国、アフリカなど特定の国から供給されており、供給の不安定性や価格変動といったリスクが常に存在しています。そのため、リチウムイオン電池のリサイクルプロセスが重要視されています。しかし、従来のリサイクル手法は、強アルカリを用いる危険な工程が含まれており、作業員にとって危険で、設備にも負担がかかります。
GSアライアンスは、新しい方法を導入し、ブラックマスから直接正極素材を作成し、それを用いたリチウムイオン電池の開発に成功しました。これは2024年11月22日に開催される第65回電池討論会においても発表され、その実力が示される予定です。研究の結果、ブラックマス電池は市販のNMC111を用いたものと比較しても約90%の初期電池容量を確認しており、サイクル安定性も良好です。この方式により、金属抽出の工程を省略し、安全性を高めつつコストを削減できる可能性が広がっています。
GSアライアンスは、この革新的なブラックマス電池の製造と販売を一手に引き受けることに決めました。特に欧州市場においては、製造コストの高騰を考慮し、各大陸での生産が求められています。多くの国々を調査した結果、スイスが最適と判断し、定期的な生産を開始する方針です。
スイスはそのイノベーション能力の高さから毎年世界の国々の中で最高評価を得ている国です。この国では、スイス連邦工科大学や各種インキュベーターが機能しており、優れたスタートアップが次々と誕生しています。これらの要素が連携し合うことで、革新的な製品や技術の開発が期待されています。
スイス・イノベーション・パークは、こうした環境をバックにした最先端の研究拠点群を形成しており、様々な技術分野での成長を支援する体制が整っています。特に、今回GSアライアンスが設立したベルン州に位置する施設には、Swiss Battery Technology Center(SBTC)があり、ここではEV向けリチウムイオン電池から効率的にブラックマスを抽出するための研究が行われています。
GSアライアンスは、今後も日本国内での進展に併せて、スイス・イノベーション・パーク・ビール/ビエンヌを拠点に、欧州でのブラックマス電池事業を加速させていく考えです。前例のない試みが現実となる中で、持続可能な未来に向けた新たな一歩として大いに期待されます。