次世代通信基盤「IOWN APN」による高速データ転送の実証実験
近年、データの重要性が高まる中、効率的なデータ転送技術が求められています。そんな中、情報・システム研究機構の国立情報学研究所(NII)をはじめとする研究機関が、次世代通信基盤「IOWN」に基づく技術、即ち「All-Photonics Network(APN)」を駆使したデータ転送の実証実験を実施し、高速かつ大容量のデータ転送に成功しました。
実証実験の概要
実証実験は、兵庫県神戸市の理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)と千葉県柏市の東京大学柏地区キャンパスとの間で行われました。NTT東日本とNTT西日本が提供するAPNの光波長専有接続サービスを使用し、800 Gbpsの回線を直結。その結果、750 Gbpsを超える転送速度を実現し、既存のアプリケーションを活用できることが証明されました。
この超高速転送が実現した背景には、ビッグデータやIoT、AIを活用したさまざまな研究が挙げられます。これらの研究において、物理的に離れた研究拠点間でのデータの効率的な転送が求められているのです。
IOWNとAPNの位置付け
IOWNとは、光通信を中心にした革新的な技術を用いることで、高速、大容量通信を実現するための構想です。その中でもAPNは、特に低消費電力で高品質かつ大容量で低遅延な通信を実現するネットワークです。2024年には最大800Gbpsの「All-Photonics Connect powered by IOWN」のサービス開始が予定されています。
実験のテクニカルな側面
実証実験では、さまざまなファイル転送アプリケーションが用いられました。その中には、理研と東大が運用するHPCI共用ストレージや、NIIが開発した恒速/高速ファイル転送ツールMMCFTPが含まれます。特にMMCFTPは、混雑したネットワーク環境でも定速で効率的にデータを転送することができるツールとして知られています。
さらに、実験における回線は、いわゆる高性能な400 Gbpsの回線で、NTT東西のAPNとSINETとの比較において、APNの遅延が約20%低減したことも確認されました。これは、高速かつ安定したデータ通信が可能であることを意味しています。
今後の展望
今後、NII、理研、東大、NTT東西は、さらなる研究・開発のための共同研究契約のもとで、APNを活用した高品質なデータ転送技術の開発を続ける方針です。特に2026年11月には、国際会議SC26において、日米間でのファイル転送実験が計画されています。
この進展により、全国の研究機関においてもこのような技術が普及し、科学研究におけるデータ利活用の品質が飛躍的に向上することが期待されています。また、これらの取り組みは日本全体の研究環境の改善にも寄与する一助となるでしょう。
結論
このように、IOWN APNを用いた超高速データ転送の実証実験は、情報通信の最前線から新たな可能性を開くものとなりました。未来の研究活動の効率化を推進し、科学的な探求を支える基盤を築く上で、非常に重要なステップとなることでしょう。