農園での障がい者雇用が企業の価値向上に寄与する可能性とは
東京富士大学経営学部の高田真也准教授を中心とした研究チームが、株式会社エスプールプラスが提供する農園型障がい者雇用支援サービス『わーくはぴねす農園』を基にした調査を行い、障がい者雇用と企業の経営革新が深く結びついている可能性を探求しました。この研究は、2024年11月発行の『日本経営システム学会誌』に掲載され、企業ごとの取り組みがどのように企業の価値を向上させるかについての新たな視点を提供しています。
研究の背景と目的
障がい者雇用は、企業の社会的責任や多様性の重要性が高まる中で、ますます注目されています。しかし、具体的にどのようにして障がい者雇用が企業の価値を向上させるのか、そのメカニズムは未だ十分に解明されていない状況です。この研究では、127社の企業を対象にアンケート調査を実施し、農園を利用する企業の経営者や従業員の障がい者に対する理解度や職場内の交流の状況を分析しました。
研究の方法と結果
研究は、オンラインフォームを使用して、2022年5月10日から23日までの期間に実施されました。対象は『わーくはぴねす農園』に参画する270社の中から127社から回答を得て、回答率は約47%でした。また、研究者は、共分散構造分析と呼ばれる統計解析手法を用いて、従業員満足度、職場交流の促進、役員の理解度など、多くの変数間の関係性を視覚的に表現しました。以下は、主な分析結果です。
1.
職場内交流の促進
障がい者雇用に関する理解が深まることで、部門を超えた交流が進展しました。
2.
従業員満足度の向上
雇用に対する理解と交流の促進が、従業員の不満を減少させ、帰属意識を高めることに繋がりました。
3.
役員の理解促進がカギ
役員が障がい者雇用や農園の取り組みについて詳しく説明することで、従業員の理解が深まりました。
4.
採用活動や投資家への良い影響
一部の企業では、この取り組みが採用活動や投資家からの反応を良くすることが報告されています。
高田准教授の見解
高田准教授は、研究結果により農園での障がい者雇用が従業員の不満を解消し、職場環境をより良くする可能性が示されたと指摘しています。そして、経営層が農園の取り組みを社内報などを通じて広め、コミュニケーションを活性化することが重要であると述べています。
企業の今後の取り組み
エスプールプラスは、今後も農園型の障がい者雇用を推進し、企業理念を実現することを目指しています。企業全体で障がい者への理解を深め、多様な人材が活躍できる環境を整えていくことが、企業価値の向上に繋がることでしょう。
この研究は、ビジネス業界に新たな可能性を示唆しており、今後の障がい者雇用が企業や社会全体に与える影響についても注目していきたいと思います。