頭痛診療のDX化:薬物乱用頭痛の可視化と予測モデル開発
近年、頭痛治療においてもDX化が進んでいます。日本システム技術株式会社は、医療ビッグデータ「REZULT」を活用し、薬物乱用頭痛のエビデンスデータの可視化と疾患予測モデルの開発に成功しました。この成果は、第6回日本メディカルAI学会学術集会にて発表され、頭痛診療の未来への期待が高まっています。
頭痛患者の増加と薬物乱用頭痛の問題
頭痛は、日本人全体の4人に1人が経験する身近な疾患です。特に片頭痛は、8.4%の人が悩んでいると言われています。近年、片頭痛の特効薬となる急性期治療薬や予防治療薬の開発が進みましたが、一方で、急性期治療薬の過剰摂取による薬物乱用頭痛の発生が問題視されています。
医療ビッグデータ「REZULT」を活用した研究
日本システム技術株式会社は、勝木将人先生(糸魚川総合病院、諏訪赤十字病院 脳神経外科・頭痛外来、現 長岡技術科学大学 准教授)との共同研究で、医療ビッグデータ「REZULT」を活用し、「片頭痛と、片頭痛医薬品及び薬物乱用頭痛の関連性」について分析を行いました。
研究成果:薬物乱用頭痛の現状と予測モデル
研究の結果、以下のことが明らかになりました。
日本における成人頭痛患者の処方パターンを分析した結果、急性期治療薬の過剰処方が頭痛患者全体の16.6%を占めていることが判明しました。
特に、トリプタンという種類の薬剤の過剰処方は、片頭痛患者の5.1%に認められました。
2021年の新薬登場やガイドラインの刷新により、2023年には処方パターンの適正化が見受けられました。
初診から3ヶ月の処方パターンを基に、成人の薬物乱用頭痛の発症を予測するモデルの試験的作成に成功しました。
社会課題の解決に向けて
本研究により、薬物乱用頭痛患者の処方パターンの実態が明らかになりました。今後は、医師だけでなく、患者や医療従事者も薬物乱用頭痛のリスクを正しく理解し、適切な急性期治療薬の使用と処方が重要になります。
日本システム技術株式会社は、研究成果を基に、保険者や医療機関、製薬企業と共に疾患啓発に取り組む予定です。また、研究成果を医療機関や製薬企業、保険者向けビジネスに活用すべく、地域特性などを分析し、研究のブラッシュアップを進めていきます。
頭痛診療の未来へ
日本システム技術株式会社は、医療ビッグデータ「REZULT」を活用した研究を通して、頭痛診療のDX化を推進しています。薬物乱用頭痛の可視化と予測モデルの開発は、患者、医師、医療従事者にとって大きな貢献となるでしょう。今後、医療ビッグデータの活用がさらに発展し、より安全で質の高い医療が実現されることを期待しています。