日本とEUが共同で進める次世代通信プロジェクト「6G MIRAI-HARMONY」
2023年10月、東京大学をはじめとする複数の機関が、次世代通信技術の研究開発プロジェクト「6G MIRAI-HARMONY」を開始しました。このプロジェクトは、AIを駆使した無線ネットワークの構築を目指すもので、日本とEUの連携によって進められます。
プロジェクトの背景と目的
現代の通信技術は驚異的な進化を遂げていますが、これからのモバイルネットワークはますます多様化し、ユーザのニーズも複雑化しています。ユーザが求めるパフォーマンスやサービス保証、エネルギー効率といった要件に応えるためには、より柔軟でスマートな通信インフラが必要です。この状況を背景に、6G MIRAI-HARMONYプロジェクトが立ち上げられました。
このプロジェクトは、国立研究開発法人情報通信研究機構が公募した「革新的情報通信技術(Beyond 5G)」基金事業に基づき、日EUの国際共同研究として位置づけられています。具体的な目的は、AI技術を活用してユーザにとって最適な通信体験を実現することです。
主要組織の参加
本プロジェクトには、東京大学、清水建設、京セラ、東京農工大学、NECネッツエスアイといった著名な機関が参加しています。特に東京大学大学院工学系研究科が中心となり、各機関がそれぞれの専門性を活かした研究開発が行われます。
また、研究協力者としてKDDI総合研究所も参画し、さまざまな視点からプロジェクトをサポートします。
研究開発の内容
「6G MIRAI-HARMONY」プロジェクトは、以下の4つの研究開発項目を中心に進められる予定です。
1. AIネイティブ・ユーザセントリックRANアーキテクチャ
東京大学、清水建設、NECネッツエスアイが共同で、モバイルネットワークにおけるAIを統合した全体的なアーキテクチャを定義します。このアーキテクチャは、ユーザエクスペリエンスを向上させるための基盤となります。
2. マルチAIネットワークの調和
東京大学は、エンドツーエンド通信に必要なAI技術を統合し、調和のとれたネットワーク技術を構築することを目指します。これにより、異なるAIが協調し、より効果的な通信が可能になります。
3. AIネイティブRAN
京セラ、東京農工大学と東京大学が協力し、AIを駆使した無線通信技術の最適化を行います。新しい技術の研究開発は、通信の質を向上させるでしょう。
4. テストベッド実証実験
このプロジェクトでは、国際的なテストベッドを利用して評価・検証を行います。特に産業ユースケースに基づいた各構成要素技術の評価が進められます。
今後の展望
研究開発の期間は2025年4月から2028年3月末までの予定です。プロジェクトの成果は、技術革新だけでなく、規格化に向けた提案とも連携し、国際的な合意形成を目指します。これにより、通信技術が持つ社会的インパクトが高まることが期待されます。
このような研究は、私たちの生活を様々な面で変革し、より便利で快適な通信インフラの確立に寄与することでしょう。次世代の通信は、一体どのような形で私たちの社会を支えてくれるのでしょうか。今後の進展が非常に楽しみです。