名古屋大学発のスタートアップTOWING、タイのSCGセメントと戦略的パートナーシップを締結
名古屋大学から生まれたスタートアップ、株式会社TOWING(本社:愛知県名古屋市、代表取締役CEO:西田宏平)が、タイの大手コングロマリット、SCGセメント社(本社:バンコク)との戦略的パートナーシップを発表しました。この提携は、TOWING独自の微生物培養技術をSCGセメントのバイオ炭製品に適用することで、農業資材の付加価値を高め、持続可能で低炭素な農業サプライチェーンの構築を目指しています。
これは10月17日にクアラルンプールで行われたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)関連イベントで正式に発表されました。
### この提携の背景と目的
タイは世界有数の農業国であり、その農業セクターは同国経済において重要な役割を担っています。しかし、長年の集約的農業により一部地域では土壌の劣化が進んでおり、これが農業生産性に影響を及ぼしています。SCGセメントは、この課題に対処するため、農業の残渣を利用したバイオ炭の製造と普及を進めています。
一方、TOWINGは、独自の微生物技術を使用して高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を開発しました。これは、バイオ炭に微生物群を担持させ、土壌改良効果を飛躍的に高めるものです。この提携の目的は、SCGセメントが展開するバイオ炭事業において、TOWINGの技術を活用することで、土壌の健康を回復し、作物の生産性向上を図ると同時に、化学肥料の使用量を減少させることです。さらに、土壌への炭素貯留を進め、温室効果ガスの排出量を抑制することも重要です。
### 次のステップ:共創による新たな価値の創造
具体的な第一歩として、両社はSCGセメントがタイのサラブリー県に保有するセメント工場を利用し、TOWINGの技術を導入した微生物培養設備の建設を準備中です。この計画により、原料の輸送コストを最低限に抑えつつ、高品質の宙炭を効率的に生産する体制を整えます。さらに、タイの農場での共同実証試験も開始しており、事業化を加速させることで、持続可能な農業を国家レベルで推進していきます。
企業として、TOWINGは新たに食品企業、農業関連企業、国際金融機関、そして政府機関との協力の可能性を探ることで、持続可能な農業や脱炭素化の進展を目指しています。
### 株式会社TOWINGについて
TOWINGは、2020年2月に設立され「サステナブルな次世代農業を起点とする超循環社会を実現する」をミッションに掲げています。同社は地域の未利用バイオマスを炭化し、土壌由来の微生物群を、TOWING独自の技術で培養して、持続可能な農業資材である高機能バイオ炭「宙炭」を製造・販売しています。さらに、宇宙開発利用加速化プログラム「スターダストプログラム」にも参加しており、未来の月面農業の実現を目指した研究開発にも取り組んでいます。
### 株式会社SCGセメントについて
SCGセメントは、タイの大手コングロマリット、サイアムセメントグループ(SCG)の一員として、タイ国内および東南アジアで展開しているセメント製造企業です。彼らは高品質な製品を提供し続け、持続可能な成長を実現するために頻繁にイノベーションを推進しています。
この提携は、農業と環境問題が交差する重要な場面での新たな一歩となるでしょう。今後、TOWINGとSCGセメントの取り組みがどのように進展し、持続可能な農業の実現に寄与していくのか、目が離せません。