瀬戸内海の藻場保全を目指す新プロジェクト
環境移送技術を手掛ける株式会社イノカが、地域住民および19の団体と協力して新たに「瀬戸内渚フォーラム」を設立することが発表されました。このフォーラムは、瀬戸内海の豊かな生態系を保全することを目指し、2024年9月25日に正式にスタートする予定です。
現状の藻場の厳しさ
藻場は、海藻を食べる生物にとって大切な餌場であるだけでなく、多くの生物が生息し、産卵や育成の場でもあります。これらは「海のゆりかご」とも呼ばれています。さらに、藻類は海水中の栄養素の過剰増加を防ぎ、海の健康を維持する役割があります。しかし、近年の地球温暖化や沿岸開発、過剰な漁業により、藻場は急速に失われています。特に瀬戸内海では、1960年代から1990年代にかけて約70%の藻場が消失してしまいました。
フォーラムの目指すもの
新たに設立される「瀬戸内渚フォーラム」は、藻場と干潟の再生を通じて生物多様性を守ることを目指しています。また、漁業や観光業の持続可能な発展にもつなげる計画です。具体的には、以下の6つの取り組みが予定されています。
1.
現地の藻場調査: 現状の藻場や土壌の健康状態を評価します。
2.
海藻の飼育条件の特定: 藻場再生に適した環境を明らかにします。
3.
教育・地域貢献フォーラム: 地域住民や学生を対象にして、藻場の重要性を伝え、保全活動への参加を呼びかけます。
4.
企業資産を利用した研究: 企業の技術を活用して藻場再生の研究を進めます。
5.
海藻の育種: 藻場再生に向けた海藻の育成を促進します。
6.
海藻を用いた開発: 海藻の成分を抽出し、商品化の研究開発を進めます。
ディープテックによる革新
このフォーラムではイノカが持つ独自の環境移送技術が活用される予定です。この技術により、瀬戸内海の環境を再現した水槽を用いて、定量的なデータを収集できる仕組みを構築します。この方法を通じて藻場再生に向けた新しいアプローチを模索し、磯焼けなどの問題解決に貢献する予定です。また、地域住民への普及啓蒙活動を通じて、藻場の重要性を広く認識してもらうことも計画されています。
未来への展望
「瀬戸内渚フォーラム」は、企業や学界、自治体など様々な関係者が協力して、藻場再生技術の開発を進める場となります。藻場の造成は二酸化炭素の吸収にも重要な役割を果たすため、カーボンニュートラルの実現にも寄与できるでしょう。また活動に参加する企業や団体を随時募集し、保全の輪を広げていく予定です。
参画団体について
フォーラムには多様な団体が参画しており、地域密着の活動を展開していきます。例えば、金融機関や製造業の企業、大学などが連携し、藻場保全に向けた取り組みを推進しています。
イノカの概要
イノカは2019年に設立され、自然の持続可能性を目指して活動している企業です。今後も自然との共生を大切にし、革新的な技術を駆使して様々な課題に取り組みます。