愛媛の海の変化とクロダイの魅力
愛媛県は美しい海と共に生きてきた地域であり、近年それらの海洋環境にはさまざまな変化が見られます。その中で、地元では古くから親しまれている魚、「クロダイ」を主役に据えたイベントが実施されました。これは、(一社)海と日本プロジェクトinえひめが推進する「変わりゆく愛媛の海」啓発プロジェクトの一環として行われたものです。
昨今の海の変化を意識しつつ、地元の食文化を豊かにするためBEMAC株式会社の社員食堂で、低利用魚であるクロダイを使用した特別メニューが提供されました。クロダイは、地方名では「チヌ」と呼ばれ、釣り愛好者の間では人気がありますが、一般的には味が良くないとされ、地元料理に活用されていないという難しさも抱えています。
イベント概要
今回のイベントは、以下の日程で開催されました。
- - 2025年2月21日(金): クロダイの竜田揚げとブラック鯛めしおにぎりの定食
- - 2025年2月26日(水): クロダイのフライとブラック鯛めしおにぎりの定食
50食を準備したメニューは、両日ともに速やく完売し、参加者たちからは「クロダイを食べるのは初めてだが、思いの外美味しかった!」という驚きの声が上がりました。ネーミングにもインパクトがある「ブラック鯛めしおにぎり」は特に好評で、今後もこのようなメニューをスーパーで購入するつもりだという意見もあり、地元の食文化への関心の深まりが見受けられました。
クロダイの魅力
クロダイは、雑食性が強いために磯焼けや海藻の食害などの課題も挙げられますが、その一方で美味しさと食べ方の多様性がある魚でもあります。特に今治市宮窪町では、秋から冬にかけてのクロダイは「鍋割れチヌ」として親しまれ、極めて美味と評判です。しかしながら、依然としてクロダイに対する食文化の認知は少なく、「変わりゆく愛媛の海」プロジェクトの取り組みを通じて再発見されることが期待されます。
このプロジェクトは、地元の水産物を使った商品開発を得意とする株式会社ダイイチフーズと連携して行われ、特にメニュー開発においては、クロダイの特徴を最大限に引き出す工夫がなされました。
環境と未来へのアクション
愛媛県は瀬戸内海と宇和海、それぞれ異なる環境を持つ海域に囲まれています。しかし、ここ数年で海洋環境は急速に変わっており、海流や温度変化が魚の生息へ影響を与えています。本プロジェクトは、こうした現状を伝え、県民が地元の海について考察するきっかけを提供することを目的としています。
私たちが今できることは、海の大切さを知り、次世代に継承するための行動を起こすことです。多くの人がこのプロジェクトを通じて、愛媛の海の美しさと大切さを再認識し、今後の取り組みに期待が高まっています。
結論
「愛媛の海」をテーマにしたこのイベントは、ただ美味しい食事を楽しむだけでなく、海や環境、そして地域文化の重要性について考える良い機会となりました。クロダイを通じて、私たちの海の未来に目を向けるきっかけになりますように。今後もこのような取り組みが続き、地元の資源を再評価し、食文化を育むことが求められます。