千葉大学病院とNTTドコモビジネスが新たな炎症性腸疾患研究を発表
千葉大学医学部附属病院(以下、「千葉大病院」)とNTTドコモビジネス株式会社(旧 NTTコミュニケーションズ)は、炎症性腸疾患(IBD)を対象に新しいePROシステムを用いた観察研究を実施し、その成果を発表しました。本研究は、患者中心の医療の向上を目指し、2022年12月から始まりました。
研究の背景
慢性疾患の管理において、患者の声や体験を反映させることは非常に重要です。特にIBDのような疾患では、症状に関する情報がプライバシーに関わるため、従来の調査方法では回答者が正確に情報を提供できない恐れがありました。そこで、本研究ではNTTドコモビジネスが提供する「析秘®」と「SmartPRO®」というシステムを活用し、患者のプライバシーを守りつつ、信頼性の高いデータ収集を可能にしました。
研究の実施
本研究には千葉県内の15施設が参加し、322人のIBD患者から2回分のePROデータを収集しました。データは電子的に集められ、診療記録と紐付けて分析が行われました。その結果、患者の生活の質を向上させる可能性が示されました。特に、服薬アドヒアランスにおいて28.9%の患者が自己申告と実際の服薬状況に乖離があり、これはePROデータが医療の質向上に寄与する可能性を示していると言えます。
研究の成果
この研究は第111回日本消化器病学会総会で発表され、今後海外の学術誌への投稿も予定されています。研究チームは、IBD患者の治療方針をより個別化したものにするために、患者の声を反映させた新しいアプローチが必要だと考えています。
今後の展開
今後、千葉大病院とNTTドコモビジネスは、患者の生活実態や病態の解明を進めるため、さらなる研究を続けていきます。患者に対しては、他の患者との比較を通じて自身の状況を客観的に把握し、病気と向き合う機会を提供していく予定です。このような新しい仕組みはIBD以外の疾患にも応用される可能性があります。
まとめ
本研究は、炎症性腸疾患に対する新たなアプローチを提示し、患者報告アウトカムを通じて診療の質を向上させることを目指しています。今後の展開が期待される中、医療業界全体に良い影響を与えることを願っています。