ノルウェーからやってきたAIのサイエンス・ノンフィクション
近年、人工知能(AI)が急速に発展し、私たちの生活に多くの影響を与えています。その背景には、さまざまな歴史や技術的進歩があります。今回は、ノルウェーから出版されたAIをテーマにした最新のサイエンス・ノンフィクションについて紹介します。この本は、東京大学の松尾豊教授が推薦しており、AIに対する洞察が豊富です。
書籍概要
この書籍「考える機械たち」は、著者インガ・ストルムケ氏によるもので、384ページから成る一冊です。本書は、AIの歴史から始まり、最新の技術動向、倫理的課題まで多角的に分析されています。特に、著者の研究テーマである、AIがどのように学習しているのかという点も詳しく解説されています。
3部構成の内容
書籍は、次の3つの部に分かれて進められています。
第1部:AIの歴史
本書の初めでは、AIの歴史が紹介されます。18世紀の「チェスをするトルコ人の人形」に始まり、アラン・チューリング、そしてDeepBlueなどを経て、現代の教師あり・なし学習やChatGPTに至るまでの進化が描かれています。この歴史的な流れを通じて、AI技術の発展を理解することができます。著者は、学習の過程での「損失関数」の設計に関連して、ユーモラスな逸話も交えています。
第2部:AIの現状
続いて、第2部では人工知能の実際の運用事例に焦点を当てています。オスロ中央駅近くのピザチェーンのデジタル看板は、視聴者の表情を観察しながらメニューを表示しているという驚きの事例を紹介します。一方、テスラ車による周囲状況の撮影も例に挙げ、データ収集の重要性やその使い方について深く考察されます。
第3部:AIの倫理
最後に、第3部ではAI倫理に関する議論が展開されます。機械に意思決定を任せることのリスクや、データの収集目的、同意のあり方についても触れています。また、EUにおけるAIに関する法整備の進展についても触れ、今後の行動規範の整備がいかに重要かを考察しています。
著者情報
- - インガ・ストルムケ: ノルウェー科学技術大学の准教授であり、AIを用いた研究で知られています。
- - 羽根由: 翻訳者で、作品にはさまざまな専門書が含まれています。
- - 小林聡: 監修者であり、数理論理学に関する専門家です。
書籍の購入
本書は2023年4月に出版され、すでにノルウェー国内で7万5000部以上の売上を記録しています。今後、英語や他の言語にも翻訳される予定です。
興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。AIについて楽しみながら学べる一冊となっています。