民事裁判のIT化を見据えた弁護士の意識調査
弁護士ドットコム株式会社が実施した「民事裁判IT化に向けた弁護士への意識調査2026年版」が注目を浴びている。この調査は、民事訴訟のデジタル化に関する改正民事訴訟法が2024年5月21日に施行されることを背景に実施されたもので、301名の弁護士を対象として、IT化への準備状況を探るものだった。
調査の背景
民事訴訟手続のIT化により、訴状等の提出が原則デジタル化されることが決定しており、弁護士には新たにmints(民事裁判書類電子提出システム)の利用が義務付けられる。これにより、多くの弁護士がデジタル技術を利用することが必須となるが、実際の意識や準備状況はどうなっているのだろうか。
調査結果の概要
調査の結果、まずmintsに関する利用状況が浮かび上がった。弁護士の86.7%がmintsの利用者登録を行っているものの、実際に担当する事件でmintsを使ったことのある弁護士は約4割にとどまることがわかった。また、mintsを未使用とした弁護士のうち、39.1%が「実際の裁判では使用したことがない」と回答しており、本格的な活用には時間がかかることが示唆される。
マインドセットと紙文化の影響
さらに興味深いのは、調査において弁護士の間で根強い“紙文化”が存在していることだ。約8割の弁護士が「紙ファイルを作る」と回答しており、mints義務化後も完全なペーパーレスへの移行は難しい状況がうかがえる。「きちんと綴じた紙ファイルを作る」とした弁護士は57.5%、一方で「紙ファイルを作らない」との答えも14.9%に過ぎない。
現状と未来の展望
しかし、同時に約半数の弁護士が今後は「電子データを多く利用する」と予測していることも注目すべき点だ。事件記録について「電子データを多く利用する」との回答は26.8%、さらに「やや電子データを多く利用する」との回答も21.5%に達している。これはmintsをきっかけに、ゆっくりとではあるが、紙から電子への移行が進む兆しを示唆している。
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調査の重要性
この調査は、今後の弁護士業務におけるデジタル化の流れを反映した貴重なデータである。IT化が進む中、弁護士たちがどのように変化に適応していくのか、またどのようにしたらよりスムーズな移行が実現できるのかが今後の課題となるだろう。
弁護士ドットコム株式会社の概要
弁護士ドットコム株式会社は、東京都港区に本社を置き、法律ポータルサイト「弁護士ドットコム」をはじめとする革新的なサービスを展開している。設立は2005年で、国内弁護士の60%以上が登録するこのプラットフォームは、今後も法律業界のデジタル化をリードしていくことが期待されている。
(出典:弁護士ドットコム)