2025年7月の景気動向
2025年7月、株式会社帝国データバンクによる調査で、国内景気動向指数(DI)が前月比0.1ポイント増の42.8に達しました。これにより、国内の景気は小幅ながら2カ月連続で改善したことが示されました。この改善の背景には、自動車を中心とした製造業の生産回復が大きく影響しており、特に悪化が続いていた個人消費に関しては依然として弱さが残っていますが、全体的には上向き傾向が見受けられました。
日米関税交渉の影響
7月にはトランプ関税に関する日米間の交渉が合意に達し、この結果、製造業における生産回復が促されました。この合意により、関税に対する不確実性が後退したことが、企業の活動を後押ししたと考えられます。また、夏物衣料や空調設備の需要が高まり、観光地での集客が改善される中、建設業も公共工事の堅調な発注が続いていることから状況が改善しました。
業界別の動向
調査においては、業界間の明暗が分かれました。『建設』業界は46.4ポイントを記録し、8カ月ぶりに改善しました。特に新幹線延伸工事や地域特有の建設事業が各地で影響を及ぼし、空調設備関連の需要も増加しました。これに対して『農・林・水産』業界は46.1ポイントに減少、原材料費高騰や猛暑が影響して悪化が見受けられました。さらに『サービス』業界は横ばいであったものの、旅行やエンターテインメント分野では旺盛な需要が観られました。
規模別および地域別の状況
企業の規模別では、「大企業」と「中小企業」は共に改善したものの、「小規模企業」は悪化しました。また、地域別では10の地域のうち7つでの改善が見られ、観光需要や地域特有の建設需要がプラスに寄与しました。
今後の見通し
今後の国内景気は、引き続き横ばい傾向で推移する見込みです。実質賃金の上昇や個人消費の動向が今後の重要な焦点となります。特にAI関連の設備投資や訪日外国人観光客の増加は、景気を支える要因となり得ますが、依然として人手不足や物価の高止まりが懸念材料となり、これらが景気に影響を与える可能性があります。
結論
2025年7月の国内景気は、少なからず改善の兆しが見られるものの、個人消費や自然災害の影響など依然として多くの課題を抱えています。トランプ関税に関する日米の合意がもたらした一時的な安堵感を活かしつつ、さらなる成長を目指していく必要があります。