未経験者をAI開発人材へと育成する「おうとまくん」
株式会社ZETTAI(東京都港区)が発表したリスキリング研修「おうとまくん」は、プログラミング未経験者をわずか30日でAI開発人材に育成することを目指しています。このサービスは、AI開発に特化したプログラム「CLAUDE CODE」に基づき、企業の内製力を向上させる新たな取り組みです。
需要の高まりとサービスの背景
デジタル化が進む中で、経済産業省によると2030年には最大79万人のIT人材が不足するとされています。その結果、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進が滞る企業は、年間で最大12兆円の経済損失を被ることが予想されています。中小企業においては年間1,200万円の外注費が平均となり、これが経営を圧迫しています。
従来のプログラミング教育は200〜600時間かかり、実務に適用されるまでには1年以上かかることが多いため、投資対効果が不透明でした。「おうとまくん」は、こうした課題にAIを活用し、短期間で解決を図るものです。
AI技術の進化と今後の展望
AIがエンジニアを凌駕する日が迫っています。1〜2年後には、AIが人間の能力を超えるとの見方もあり、特にOpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は「AIツールの活用が新たな必須スキルになる」と述べています。各企業がこの流れに乗り遅れると、競争から脱落しかねない状況です。これに対し「おうとまくん」は、短期間でAIを効果的に使いこなせるスキルを育成します。
AIの能力の進化
近年、AIの実務課題解決能力は急速に向上しており、2022年においてはほぼ解決不可能だったプログラミング課題も、2025年前にはシニアエンジニアに近い能力を持つに至ります。具体的には、最新のClaude Sonnet 4.5は77%の解決率を達成し、約30時間連続での作業も可能となっています。これにより、AIはもはや補助ツールではなく、開発の中心的存在になる可能性が高まっています。
学習プログラムの内容と特徴
「おうとまくん」のプログラムは、実務に即した課題を基に学習が行われます。各ステップは、1ステップ30分の動画で構成されており、必要な部分だけを受講する方式で、無駄なコストをかけることなく学ぶことが可能です。また、研修中に自社の実務課題を解決することが目標とされており、受講者が実際にそのスキルを実務に活かせるシステムを構築することが期待されます。
さらに、受講者には東大卒のプロジェクトマネージャーや現役のシニアエンジニアが個別サポートを行います。これにより、質問に対する即座の解決や、実際に書いたコードのレビューを通じて、現場で使えるレベルまで引き上げることが可能です。
モニター募集と企業への期待
この新サービスは、先着で10社限定のモニター企業を募集中です。法人対象で従業員が10名以上の企業が応募可能で、モニター企業として参加することで、自社の必要なIT人材を短期間で育成することができます。参加者は研修後にアンケートに回答し、導入事例インタビューに協力することで、サービスのさらなる改善に寄与することが求められます。
代表者のコメント
株式会社ZETTAIの代表取締役、小潟 一翔氏は「AIはもはや補助ツールの段階を超え、共創エンジニアとしての役割を果たし始めています。私たちは30日で実務に投入できる育成プログラムを提供し、企業の内製力を向上させることを目指しています。」とコメントしています。
今後、AIが本格的に導入される時代に、企業は自社の競争力を高めるために、効果的な人材教育が求められています。「おうとまくん」がその課題にどのように応えるか、今後の展開が期待されます。