富士通とYaqumoが共同研究を開始
富士通とYaqumoが、量子コンピュータの実用化を加速させるために新たな共同研究を開始しました。この取り組みでは、量子計算の新しいアーキテクチャを構築し、それに必要なソフトウェアの開発と実機検証を行うことが目的です。
新たな量子計算アーキテクチャの開発
富士通は、これまで主に超伝導型量子コンピュータ向けに開発してきた「STARアーキテクチャ」という新しい量子計算の枠組みを提案しています。このアーキテクチャは、量子ビット数を大幅に削減し、より効率的な量子計算を可能にするものです。また、Yaqumoは中性原子型量子コンピュータを開発しており、二者はこの技術を組み合わせて実機検証を行います。
2016年4月からは、両社による共同研究が始まり、8月には実機利用による検証がスタートしました。中性原子型量子コンピュータの全結合性を活かすことで、超伝導型との違いを生かした新たな計算手法の可能性が広がります。
中性原子型量子コンピュータの特性
中性原子型量子コンピュータは、レーザーによって冷却された中性原子を光学的にトラップし、その状態を制御することで動作します。この技術は、高いスケーラビリティとコヒーレンス時間を持っており、より多くの量子ビットによる大規模な量子システム構築に向いていると言われています。これは、量子エラーを訂正する技術の実現にも期待がかかります。
Open Quantum Toolchainの活用
富士通が開発した「Open Quantum Toolchain for OPerators and Users」というオープンソースソフトウェアは、量子コンピュータの運用に必要な環境構築を支援します。このツールにより、異なる方式の量子コンピュータの操作が統一されたインタフェースで行えるようになり、量子コンピュータの普及が促進されると考えられています。
今後の展望
Yaqumoでは、2027年度までに数百量子ビットを超える中性原子型量子コンピュータを開発する目標を持っています。本共同研究において、富士通の技術とYaqumoの中性原子型コンピュータの特性を組み合わせることで、量子コンピュータの実用化が加速することが期待されます。また、超伝導型量子コンピュータとの接続検証を行うことで、さらなる技術的可能性を探る狙いがあります。
富士通のフェロー、佐藤信太郎氏は、「量子コンピューティングの実用化には、革新的なハードウェアとアーキテクチャ・ソフトウェアが必要」と話し、中性原子型の特性を生かした研究の重要性を強調しました。今後、両社の研究が進展することで、社会課題解決に向けた新たなソリューションが提供されることが期待されます。