BSIグループジャパン(British Standards Institution)は、最近「多様な年齢層の人材が活躍し、繁栄する組織とは」と題された抄訳レポートを発表しました。このレポートでは、さまざまな年代の人々が協力して生産的な職場環境を築いていくために重要な要因が明らかにされています。近年、経済圏の人口動態が大きく変わり、高齢化社会が進展しています。このため、未来の職場には異なる世代の人々が同時に働くことが常態化する見込みです。そんな中で、組織がどのように各世代の従業員が自分のキャリアを充実させ、有意義な仕事を持続していくことができるかが鍵となります。
レポートでは、世界的な寿命の延びが進行している現状に着目しています。World Health Organizationによると、2050年までに60歳以上の人口比例は12%から22%に達し、6人に1人がこの年齢層に属する見通しです。特に日本は、超高齢化社会として位置づけられ、65歳以上の高齢者の割合は世界で2位となっています。この背景から、私たちは多様な年齢層の労働力を活用する必要性を強く認識する必要があります。
さて、日本の現状では、65歳以上の人口が急増する中、一方で出生数が減少しているため、人口バランスが崩れつつあります。日本財団の調査によりますと、2025年には5人に1人が75歳以上になる予測が立てられています。この事態は社会保障制度や経済に厳しい影響を与えることが懸念されています。しかし、一部の調査によると、60歳以上の約40%の人々は「できる限り働き続けたい」と考えていることが示されています。このことから、高齢者の活用がこれからの社会でますます重要になることは間違いありません。
調査結果から、日本における高齢者労働力の活用に向けた優先事項がいくつか浮き彫りになりました。最も重視されているのは「働き方の柔軟性」であり、約63%の人がこれを求めています。特に、年齢を重ねるほど、働く環境や時間に柔軟であることを求める傾向があります。次に、「高い生産性の維持」が重要視され、続いて「スキルの維持・向上」や「健康・精神的ウェルビーイング」の確保が挙げられました。精神的健康に対する関心が高まっているにも関わらず、優先順位が比較的低いことは注意が必要です。
一方、企業側から見ると「挑戦しがいのある仕事を提供すること」が最も高い優先度を持ちます。このニーズは72%を占めており、職場での成長を促される環境が求められています。このような現状を改善するために、日本の社会は年齢を問わず、多様な人材が活躍できる職場を整えていく必要があります。
レポートを監修したBSIのヒューマン&ソーシャルサステナビリティの責任者であるKate Field氏は、「今日の行動が明日の職場の成果を築く」と述べており、改革が急務である旨を強調しています。BSIは、このレポートを通じて、より公平で持続可能な社会の実現を目指していきます。
本調査は、英米中日をはじめとする9つの国々の932名のビジネスリーダーを対象に行われました。彼らの意見を反映させることにより、多様性を重んじる社会の建設に向けた具体的な施策が考察されています。
最後に、この調査報告書は、BSIのウェブサイトで誰でもダウンロード可能です。多様な年齢層が共に活躍する未来に向けた思考の手助けとなることでしょう。