はじめに
建築物の省エネルギー推進や脱炭素社会の実現が求められる現代において、断熱性能の高い建材の役割はますます重要性を増しています。このたび、一般財団法人日本規格協会が新たに発行した建築用断熱材に関する日本産業規格(JIS)は、これらの問題に対処するために開発されたもので、2025年6月20日に施行される予定です。この規格化により、断熱材の性能評価が標準化されることで、より高性能な製品の普及が促進されることが期待されます。
JISの内容
今回制定されたJISは、以下の3つの規格から成ります。これらの基準は、長期的な断熱性能を評価するために必要な条件や試験方法を定めており、それぞれが異なる特性を持つ断熱材に対象を絞っています。
1.
JIS A 1491-1:2025 - 通則
2.
JIS A 1491-2:2025 - 発泡プラスチック系断熱材
3.
JIS A 1491-3:2025 - 繊維系断熱材
背景と必要性
近年、住宅や非住宅の省エネルギー化は国の重要な課題とされており、建物のエネルギー消費の約30%を占める空調エネルギーを削減するためには、優れた断熱性能が不可欠です。特に、壁や屋根の性能向上が求められています。加えて、建物の建設から解体までのCO₂排出量削減も重要な観点です。これにより、断熱材の長寿命化や安定した性能確保のニーズが高まっており、産業界では新たな材料の開発が迫られています。
期待される効果
新たな規格が作成されたことにより、断熱材の収束値評価が行いやすくなり、製品の開発コストや期間の短縮につながります。また、製品化が進むことで市場に高性能の断熱材が供給され、競争力が向上するでしょう。さらに、設計段階において断熱材の性能を正確に把握することで、建築設計がより高度化する期待も寄せられています。
評価方法
これらの規格では、断熱材を試験用に切り出し、特定の条件下で促進試験を実施します。評価方法は二つに大別され、区分Aでは主に繊維系材料を直接評価し、区分Bでは発泡プラスチック系材料の性能を推定するアプローチが取られます。実際の検査では、温度、湿度などの条件を設定し、断熱性能の変化を正確に測定することで、長期的な性能の信頼性を確保します。
断熱材の種類と実験例
具体的な試験は、グラスウールなどの繊維系断熱材や、発泡プラスチック系の製品に適用されます。例えば、試験前後の断熱性能を比較することで、製品がいかに優れた性能を保持しているかを明らかにしています。
結論
建築用断熱材のJIS化は、省エネルギーと環境負荷軽減に向けた重要な一歩です。新たな評価基準が確立されることで、より良い建材が市場に出回り、持続可能な建築物の実現に寄与することが期待されています。今後の展開に目が離せません。