2025年2月末の東京主要7区オフィス市場動向
2025年2月末時点での調査結果によると、東京の主要7区におけるオフィスビルの空室率は4.17%という数値を記録しています。これは、前月から0.35ポイントの減少を示しており、オフィス市場が一定の安定感を見せていると言えます。同時に、平均募集賃料は28,119円/坪で、これは前月比で834円の減少です。これらのデータは、三菱地所リアルエステートサービス株式会社が発表したものであり、特に注目すべき点がいくつかあります。
空室率の動向
主要7区の空室率の動向を見てみると、港区では空室率が下降し、5.28%に達し、江東区では上昇傾向にあります。他の区、具体的には千代田区、中央区、新宿区、渋谷区、品川区では空室率は横ばいとなっています。特に港区は、赤坂エリアを中心とした大型空室の消化が進んだため、空室率が51か月ぶりに5%台に低下しました。
一方で、主要5区の空室率は2020年10月以来のこととして、4%を下回り3.97%を記録しています。この数値は、東京全体のオフィス市場の回復傾向を示唆しています。
平均募集賃料の変化
平均募集賃料については、新宿区での上昇が見られますが、中央区、港区、品川区ではそれぞれ賃料が下落しています。さらに、千代田区、渋谷区、江東区では横ばいの状態を維持しています。重要なことは、主要7区全体の平均募集賃料が前年同月比では上昇しているが、直近2か月連続して下落している点です。
特に港区は高単価物件の募集が終了している影響が大きく、品川区では天王洲・品川シーサイドエリアの物件が交通利便性に問題があるため、募集賃料が引き下げられる状況にあります。これにより、平均賃料が1万円台/坪での募集も行われるようになっています。
オフィス移転の傾向
オフィスの移転時には、通念的に「交通利便性」が最も重視される条件として挙げられています。最近、三菱地所が実施した「不動産施策に関するアンケート調査」によると、オフィス移転先を選ぶ際に重要視される要素として、交通利便性が最も高い評価を得ており、次いでコストや周辺環境が続くことが明らかとなりました。
特に交通利便性の意識は明らかに上昇していますが、コストに関しては2022年Q3以降、減少傾向にあります。これが、オフィス移転における意思決定に大きな影響を与えていることが伺えます。
また、面積動向別に見ると、減床移転をする企業では、交通利便性の重視よりもコストの重視が顕著に見られるという結果も出ています。これにより、今後のオフィス市場はより効率的な利用を目指した選定が進む可能性が高まります。
結論
最近のオフィス市場動向は、安定性を保ちながらも変化の兆しを見せています。特に空室率の横ばいや減少はプラス要因と受け取られますが、賃料の減少や交通利便性の重視が引き続き影響する中で、企業側は今後のエリア選びやオフィスのあり方を見直す必要があります。これにより、東京のオフィス市場はますますダイナミックに変化していくことでしょう。