概要
2025年7月29日、東京都新宿区に位置する国際ファッション専門職大学では、経済産業省製造産業局生活製品課と協力し、「サステナビリティとファッション産業の未来」というテーマの特別講義が開催されました。この講義には、経済産業省の山下大貴氏、株式会社KAJIHARA DESIGN STUDIOの梶原加奈子氏が特別講師として参加し、実際の業界での経験と現状分析を交えた貴重な話が展開されました。教員である平井秀樹教授がファシリテーターを務め、学生たちは主体的に議論を深めるパネルディスカッションも行われました。
講義の内容
講義では、特に日本の繊維産業が直面している課題に焦点が当てられました。近年、日本の国内生産率は1.5%に低下し、98.5%が輸入に依存しているという現実があります。この背景には、衣料品の低価格化や市場への供給量の増加、さらには国外商業の大幅な進出があるとされています。主に中国やベトナムといった国からの輸入が支配的であり、製造プロセスの多くが海外で行われる現状についても触れられました。
また、サステナビリティはもはや選択肢ではなく、企業活動における前提条件として理解されるべきと強調されました。特に欧州諸国が進めている環境問題や人権問題への関心が高まる中、日本企業もその対応を迫られているのです。この講義では、繊維リサイクルを含むサステナブルなビジネスの方向性も議論され、今後の店舗運営や消費者へのアプローチの具体的な提案が行われました。
学生主導のディスカッション
特別講義後には、梶原加奈子氏を迎え、学生たちが入れ替わりで参加する形式のパネルディスカッションが行われました。このディスカッションは、学生が未来のファッション業界をどのように捉え、サステナビリティをどのように考えているのかを示す貴重な機会となりました。参加した学生たちは、サステナビリティに関する国際的な動向やリユース・アップサイクルの重要性、ファストファッションとの関係性など様々な観点から質問を投げかけ、活発な議論を展開しました。
参加学生の感想
参加した学生たちは、各自が感じたことや考えたことを共有しました。ファッションクリエイション学科の4年生、佐々木みれさんは、経済産業省の視点からサステナブルファッションについて学ぶことができたことを評価しました。また、2年生の奥井悠生さんは、サステナビリティという概念が消費者にどのように解釈されるべきか、実際のケーススタディを通して再確認できたと述べました。さらに、3年生の西小原瑠夏さんは、業界全体を動かすためには行政のサポートも必要だとの認識を持ち、積極的に学ぶ姿勢を示しました。
国際ファッション専門職大学について
国際ファッション専門職大学(PIIF)は、2019年に設立された新しい専門職大学で、ファッションビジネスに特化した教育を提供しています。全員が海外での実習を経験し、国際的な視野を持つ人材の育成を目指しています。今後もこのような平行講義を通じて、学生たちが実践的な知識とリーダーシップを身につけられる機会を提供していく予定です。
この特別講義は、本年10月には第二弾が予定されており、次回は繊維産地の現状と未来をテーマに、さらなる議論が期待されています。