三重大学とNTT西日本の医療DX推進
2024年11月1日、三重大学(津市)とNTT西日本(大阪市)は、医療分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けた包括連携協定を締結しました。このコラボレーションは、医師の働き方改革を促進し、三重県内の医療サービス向上を目指しています。
協定の背景
医療業界は少子高齢化という厳しい現実に直面しています。特に医師の過重労働は深刻な問題であり、これを解決するためには業務効率化が不可欠です。例えば、退院サマリの作成にかかる時間は約30分、年間で15,000件ともなる業務は、多くの医療機関でも共通の課題となっています。これらの文書作成を軽減するために、NTTの大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」が活用されることが期待されています。
実証実験の取り組み
三重大学医学部附属病院では、「tsuzumi」を用いて医師の事務作業を効率化するための実証実験が行われます。この実験では、医療データから生成された文章を医師が確認・修正することで、書類作成の時間を短縮しつつ、質を保つ業務フローを目指します。
実証実験の概要
- - 期間:2024年11月1日〜2025年3月31日(予定)
- - 役割分担:NTT西日本が「tsuzumi」の提供、および電子カルテデータを用いた追加学習を行い、三重大病院は医療知見を提供する形で協力します。
特徴と効果
この実証によって、医療業界が長年抱えていた課題にアプローチできます。「退院サマリ作成の効率化」は、他の医療機関にも応用可能です。一定の効果が実証されれば、全国的なモデル展開にもつながります。
また、「tsuzumi」は70億のパラメータを有する軽量なモデルで、クリティカルな患者情報を保護しつつ、医療機関内で安全に使用することができます。さらに医療業界特有の専門用語も含まれるため、追加学習によってその処理能力が向上します。
今後の展望
今後、NTT西日本と三重大学は、この実証実験の結果を踏まえ、退院サマリ作成業務での本格的な「tsuzumi」の導入を進める予定です。また、他の医療業務への応用も視野に入れており、地域の医療課題に積極的に貢献していく計画です。
本プロジェクトによって、三重県の医療環境がさらに充実し、地域の患者さんにより良い医療が提供されることが期待されます。