27歳の女性醸造家が再建に挑む
愛知県愛西市にある水谷酒造は、2024年5月9日に発生した火災で全焼し、創業以来180年以上にわたる日本酒造りの伝統が脅かされています。そんな苦境に立つ水谷酒造の再建を目指すのは、27歳の若き女性醸造家、後藤実和さんです。彼女は「全焼180年蔵に挑む27歳女性醸造家」と題したクラウドファンディングプロジェクトを開始しました。
クラウドファンディングの概要
このプロジェクトは、実施プラットフォームであるREADYFORを通じて行われます。目標金額は2,000万円で、募集期間は2025年6月30日から8月28日までです。支援は「All or Nothing」の方式となっており、目標金額が達成された場合のみ支援金が受け取れる仕組みです。
火災の衝撃と再建の志
火災により、長年蓄積された設備や資源を失い、水谷酒造は全てを失いました。しかし、その逆境の中でも、「この伝統を絶やしてはならない」という熱い思いが消えることはありませんでした。地域の方々や他の酒蔵の共同醸造といった多くの支援を受け、再建に向けた新たな希望が生まれています。
特に、愛知県内の他の酒蔵との協力は大きな支えとなりました。「義侠(山忠本家酒造)」「我山(鶴見酒造)」「奥(山崎合資会社)」「蓬莱泉(関谷醸造)」の酒蔵は、共同で酒造りを行うことで力を貸してくれています。このような関係は通常難しいものですが、各蔵が一丸となって支援の手を差し伸べてくれることは非常に心強いです。
支援リターンの魅力
支援のリターンには、クラウドファンディング限定の日本酒「千実 山藍摺(やまあいずり)生酒」が含まれています。この特別なお酒は関谷醸造との共同で製造されたもので、クラウドファンディングでしか手に入らない貴重な品です。また、愛知県産のブランド米「あいちのかおり」や無添加100%のトマトジュース「でらうみゃーとまと」もリターンとして準備されています。これらはすべて水谷酒造の専務である立松豊大さんの情熱と思いが込められています。
トマトジュースは、廃棄される運命にあったトマトを使用しており、食のサステナビリティを感じさせる一品です。
若き醸造家・後藤実和の想い
後藤実和さんは、「火災後、一度は酒造りを諦めかけた。しかし多くの方々の温かい声援と協力で再び立ち上がる勇気をもらった」と語ります。彼女の目には強い決意が宿っており、再建の一歩を踏み出すためにクラウドファンディングを利用することに挑戦しています。酒蔵や地域の人々と連携しながら、新たな未来を切り開く姿勢が感じられます。
水谷酒造の歴史と未来
水谷酒造は江戸時代末期に創業し、180年以上の歴史があります。愛知県愛西市に本拠を置き、代表取締役には水谷政夫さんが就任しています。代表的な銘柄として「千瓢(せんぴょう)」や「千実(ちさね)」があります。公式ウェブサイトでも商品の紹介やプロジェクトの進捗が公開されています。
水谷酒造の再建に向けた挑戦は、地元愛知の酒文化を守るための重要な一歩です。読者の皆さんも、この美しい伝統を支えるためにぜひ応援をお願いいたします。