奈良原一高と仲間たちの特別展
島根県立美術館は4月17日から7月14日まで、「結成70周年記念奈良原一高《無国籍地》と『グループ“実在者”』の仲間たち」を開催します。これは戦後日本の写真界に大きな影響を与えた奈良原一高と、その仲間である前衛画家たちの作品を振り返る特別な展覧会です。
展覧会の背景
奈良原一高(1931-2020)は、戦後の日本写真の先駆者として知られ、その輝かしいキャリアの中で数々の革新的な作品を世に送り出しました。その中でも、1931年に撮影された《無国籍地》は、彼の初期の作品であり、当時の日本の廃墟の美しさと、その背後にある歴史的な物語を描き出しています。その作品は、奈良原一高の世界観の基盤を築く重要な要素であり、展覧会においては50点が展示される予定です。
また、奈良原が参加した「グループ“実在者”」は、1950年代に名を馳せた前衛画家たちの集団です。彼らは既存の芸術運動に反発し、新たな表現方法を追求しました。奈良原もオブザーバーとして参加し、互いに影響を与え合いながら創作活動を行っていました。
展覧会の概要
- - 展覧会名:結成70周年記念奈良原一高《無国籍地》と「グループ“実在者”」の仲間たち
- - 会期:2025年4月17日(木)~7月14日(月)
- - 休館日:火曜日(4月29日、5月6日は開館)
- - 入館料金:一般300円、大学生200円、小中高生無料
- - 会場:島根県立美術館コレクション展示室4
- - 開館時間:10:00~日没後30分(入場は日没時刻まで)
展覧会の見どころ
この展覧会では、奈良原一高の作品を中心に、彼が影響を受けた仲間たちの作品も展示されます。「グループ“実在者”」の結成70周年を記念して、彼らの連携や影響力を再評価する貴重な機会となります。特に、廃墟をテーマにした奈良原の作品と、堀内康司の作品との展覧が期待されています。
奈良原と「グループ“実在者”」の関係
奈良原が参加した「グループ“実在者”」は、1955年に結成されました。当時、奈良原は大阪の廃墟を撮影しており、その後東京の王子でも同様のテーマで作品を制作しました。仲間たちがそれぞれ持つ独自の視点は、奈良原の作品に彩りを加え、彼の表現を豊かにする要素となったのです。なお、グループは展覧会を通じて連携を深め、その結果として雑誌や詩画集を制作しました。
この特別展は、奈良原一高の生涯と業績を辿る重要なイベントでもあり、来場者には彼の作品を通じて戦後の日本美術を感じ取ることができる特別な体験が提供されるでしょう。ぜひこの機会に足を運んでみてください。