国家公務員の労働環境を探る名古屋市大との共同研究が発表

国家公務員の働き方に関する新たな洞察



近年、日本の公務員は改革を通じて働き方を見直していますが、同刻国の業務の質を高めるにはどのような対策が必要でしょうか。

この問いに答えるため、名古屋市立大学とオープンワーク株式会社は共同で研究を実施し、その成果が同大学のワーキングペーパーとして公表されました。研究のタイトルは『国家公務員の働き方・労働環境、PSMに関する一考察:中央省庁のクチコミデータの分析から』です。

研究の背景


近年、日本では働き方改革が進められ、国家公務員の長時間労働の是正が求められています。この改革に伴い、中央省庁における公務員の労働環境とパフォーマンスの関係性が重要なテーマとなっています。特に、どのようにして国家公務員の公務へのモチベーション(Public Service Motivation: PSM)を向上させるかが課題として浮き彫りになっています。

研究の目的


本研究は、OpenWorkのクチコミデータを利用し、中央省庁の労働環境とそのパフォーマンスに関連する要因を探ることを目的としていました。対象として選ばれたのは、複数の中央省庁(外務省、厚生労働省など)であり、各省庁の職員から提供された匿名性のあるデータが分析に用いられました。

主な分析結果


分析の結果、中央省庁間での働き方や労働環境の状況にはかなりの差があることが明らかになりました。特に、国家公務員の士気を高める要因として以下の6つが特定されました:
1. 風通しの良さ
2. 社員の相互尊重
3. 20代の成長環境
4. 人材の長期育成
5. 法令順守意識
6. 人事評価の適正感

これらの要素が、「社員の士気」に対して統計的に有意なプラス効果をもたらすことが確認されました。特に「相互尊重」と「成長環境」、「人事評価の適正感」は、大半の省庁でポジティブな影響を及ぼすことが示されました。

今後の展望


今後は、国家公務員の年代や職種による差異を分析し、具体的な取り組みの実態に迫るため、OpenWorkに寄せられたクチコミのテキストデータを活用したさらに詳細な調査を進めていく方針です。

ワーキングペーパー「CUPRE」について


名古屋市立大学都市政策研究センターが発行する『CUPRE』は、都市政策に関する自主研究の成果を掲載しています。本研究もその一環として、都市の課題に対する研究成果の発表および情報発信を目的としています。

このように、国家公務員の労働環境に関する調査が進むことで、今後の改革に向けた手がかりが得られることが期待されています。公務員の労働環境を改善することは、行政そのものの質を高めることにもつながり、より良い社会を築くための重要な要素であると言えるでしょう。

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