ナイセリア属細菌が歯周病予防に寄与する可能性
ライオン株式会社は、口腔内の善玉菌であるナイセリア属細菌が、亜硝酸を代謝することで歯周病関連細菌の増殖を抑制することを発見しました。これにより、従来のプラークコントロールに加え、菌バランスをコントロールすることの重要性が再確認されました。この研究は、2026年の「第69回春季日本歯周病学会学術大会」で発表され、注目を集めています。
研究背景
口腔内の健康を保つためには、歯磨きなどのプラークコントロールが重要ですが、最近の研究では菌バランスの維持がますます重要視されています。口腔内には数百種類の細菌が共存しており、その均衡が崩れると歯周病などのリスクが増加します。そこで、ナイセリア属細菌のような良好な細菌が口腔環境を整える可能性があることが探索されました。
主な研究結果
1. 亜硝酸還元活性の発見
研究者たちは、口腔内細菌の中から亜硝酸を代謝する細菌を選び、その代謝活性を測定しました。ナイセリア属細菌の亜硝酸還元活性が特に高いことがわかりました。このことが、健康な口腔環境におけるナイセリアの重要性を示しています。
2. 歯周病関連細菌の抑制
次に、ナイセリア属細菌と歯周病原細菌であるP. gingivalisを共存させた実験を行いました。ナイセリアと亜硝酸が共存する環境下では、P. gingivalisの増殖が著しく抑えられることが確認されました。この結果は、ナイセリアの存在が口腔内の細菌バランスを保つ鍵となることを意味しています。
3. バイオフィルムの形成
さらに、複数の細菌がバイオフィルムを形成する条件下でナイセリアと亜硝酸を加えたところ、多くの歯周病関連細菌が減少しました。このことは、ナイセリアが亜硝酸を代謝することで、これらの細菌の増殖を選択的に抑制する可能性を示唆しています。
今後の展望
ライオン株式会社は、口腔内の全体的な菌バランスを整える「菌バランスコントロール」を新しい予防法として推進していく考えです。これにより、口腔から全身の健康をサポートすることを目指しています。ナイセリア属細菌のような常在細菌を利用したアプローチが、今後の口腔ケアに革新をもたらすことが期待されます。
研究に関するコメント
九州大学大学院の竹下教授は、ナイセリアが亜硝酸還元を通じて歯周病関連細菌の増殖を抑制することを示した今回の成果は、口腔の健康増進における新たな視点を提供するものだと述べています。また、歯磨きだけでなく、ナイセリアを適切に活用することで、口腔環境を良好に保つ手助けができる可能性があると強調しました。
研究とその結果は、今後の口腔ケアに新たなアプローチを提供し、健康な口腔環境の維持に貢献するでしょう。