学校法人会計基準ワーキンググループ:セグメント情報と附属病院の会計処理の課題

学校法人会計基準ワーキンググループ:セグメント情報と附属病院の会計処理の課題



文部科学省が開催した「学校法人会計基準の諸課題に関する検討ワーキンググループ(令和5年度~)」の第3回議事録の内容をまとめた。今回の議題は、セグメント情報における配分基準の検討、附属病院等の実態調査結果、大学等と病院・診療所の関係、国立大学附属病院における人件費等の会計処理など多岐にわたった。

セグメント情報における配分基準の検討



特に注目されたのは、セグメント情報における配分基準の検討である。特に、医学部附属病院等の会計処理の実態調査結果を踏まえ、人件費の配分方法について活発な議論が交わされた。

教職員の勤務実態把握の困難さ

調査結果では、教職員、特に教員の勤務実態やエフォートの把握は「困難」あるいは「不可能」という意見が多く、その要因として、医学部と附属病院の兼務、教育研究と診療の兼務、業務時間の明確な区分などが挙げられた。

病院の人件費配分基準の検討

病院の人件費配分基準については、医学部と附属病院の活動状況を反映した適切な方法を検討する必要があるとの意見が多数寄せられた。具体的な案としては、

案1: 学校法人が説明可能な範囲で、勤務実態の把握方法を自由に選択し、そのデータに基づいて按分比を設定する。
案2: 国立大学におけるタイムレコード、タイムレポート、タイムスタディなどを参考に、把握方法を選択し、そのデータに基づいて按分比を設定する。

が示された。

国立大学附属病院の事例

国立大学附属病院の事例では、タイムレコードやビーコンを用いて勤務状況を把握しているケースが紹介された。しかし、研究活動や入院診療時間など、一部業務の正確な把握には課題が残るという現状も明らかになった。

議論のまとめ



ワーキンググループでは、以下の点が共通認識として共有された。

セグメント情報の必要性: 大学等の経済実態をより適切に表すためには、セグメント情報が必要である。
人件費配分の課題: 教職員の勤務実態を正確に把握することは困難であり、適切な配分基準を検討する必要がある。
国立大学との連携: 国立大学におけるセグメント情報に関する取り組みを参考に、私立大学でも同様の基準を導入していく必要性がある。

今後の課題



今後の検討課題としては、以下の点が挙げられた。

セグメント情報の定義と範囲: 診療報酬を得る病院・診療所をセグメント情報に含めるべきか、施術所は除外すべきかなど、セグメント情報の定義と範囲を明確にする必要がある。
人件費配分基準の具体化: 現行の発令基準を踏まえつつ、より経済実態を反映した人件費配分基準を具体化する必要がある。
事務負担の軽減: 新しい基準の導入によって事務負担が増加しないよう、工夫が必要である。
* ダブルスタンダードの解消: 新基準と現行基準の間にダブルスタンダードが生じないように、基準を統一する必要がある。

おわりに



今回のワーキンググループでは、セグメント情報と附属病院の会計処理における課題について、多角的な視点から議論が深まった。今後、これらの議論を踏まえ、より適切な学校法人会計基準の構築に向けて検討が続けられることが期待される。


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