敗血症性肝障害の解明
2026-08-31 09:28:05

敗血症性肝障害のメカニズム解明、新たな治療法の可能性を示唆

敗血症性肝障害を巡る新たな知見



岐阜大学の研究チームが、敗血症性肝障害(SALD)に関する革新的な研究結果を発表しました。この研究は、感染が引き起こす炎症反応のメカニズムを深く掘り下げ、現在の治療法では解決困難な新たな治療戦略の可能性を示しています。特に、トランスグルタミナーゼ2(TG2)という酵素が細胞の炎症制御に重要な役割を果たしていることが明らかにされました。

研究の背景と意義



敗血症は、感染に対する免疫反応が過剰となり、全身に炎症を引き起こす重篤な病態であり、特に肝臓への影響が顕著です。肝障害の発症は死亡率60%にも達し、そのメカニズムはまだ十分に理解されていませんでした。そのため、根本的な治療法の開発が求められていました。

研究チームは、肝臓のマクロファージでTG2が活性化され、細胞骨格タンパク質「ビメンチン」との相互作用が炎症を持続させるメカニズムを解明しました。これは従来の「サイトカインの暴走」という見方を覆す新しいアプローチです。

TG2とビメンチンの役割



TG2は、特定のタンパク質同士を架橋し、構造を変化させる酵素です。本研究では、細菌由来のリポ多糖(LPS)によって活性化されたマクロファージにおいて、TG2がビメンチンと結合し、その構造を「かご状」に再編成することが分かりました。この変化は、プロテアソームの動員を妨げ、炎症を引き起こす分子TRAF6の分解を抑える結果をもたらします。

一方で、TG2の阻害によってTRAF6の分解が促進され、炎症が抑制されることも確認されました。これにより、TG2は敗血症における新たな治療標的となる可能性を秘めています。

結果と将来の展望



実験では、TG2阻害剤のシスタミンが敗血症モデルマウスにおいて炎症の軽減と生存率の向上を示し、TG2をターゲットとした新たな治療法の可能性を示しています。今後は、ヒトの肝臓マクロファージを用いた検証も進め、TG2を用いた臨床的応用に繋げることが目指されています。

研究者の見解



研究のリーダー、秦咸陽特任講師は「炎症を抑えることが従来の治療法でしたが、今回の研究からは細胞内のタンパク質品質管理の破綻が炎症の持続に関与していることが明らかになり、今後の研究に大きな展望が開けました」と述べています。

結論



本研究は、敗血症性肝障害に対する理解を深め、未来の治療法開発に向けた重要なステップを提供しています。新たな治療戦略としてTG2をターゲットとし、今後さらなる研究成果が期待されます。


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