希少和牛「無角和種」は山口県阿武町に息づく
山口県阿武町は、日本海に面した自然豊かな地域であり、この土地で育まれた希少な和牛「無角和種」に注目しています。無角和種は、日本の和牛品種の中でも飼育頭数が極めて少なく、現在は約200頭しか存在しません。この数は、日本の和牛全体のわずか0.01%であり、一般社団法人無角和種振興公社がその大半を飼育しています。かつては1万頭近くが飼育されていたことから、急速に減少した背景がうかがえます。
阿武町の特性を活かした取り組み
阿武町では、「土地が牛を育て、牛が土地の価値を育てる」という理念をもとに、無角和種の育成を通じて地域の風土と価値を再構築するための様々な取り組みが進められています。この地域では、草地造成、放牧肥育、地元産飼料の使用など、無角和種がその自然環境で健康に育つことを重視した飼育方法が実施されています。無角和種は、母乳をしっかり飲み、草を好んで食べるため、肉質は赤身が美しく、純粋な旨味が特長です。
特に、無角和種が提供する肉質の良さを基にした地域ブランディングが進められており、持続可能な生産システムを構築することが目指されています。
未来を見据えた「無角和牛を食べる会」の開催
阿武町では、地域と都市部をつなげるための取り組みとして、招待制の『無角和牛を食べる会』も開催しています。このイベントの目的は、無角和種の価値や生産背景、未来の展望を参加者に理解してもらうことです。2026年1月29日には、東京・銀座のレストラン「TROIS VISAGES」にてメディア関係者との食事会が予定されています。
この会では、山口県出身のシェフ・國長亮平氏が、無角和種を使用した料理を提供します。ゲストには、阿武町の地域プロジェクトマネージャーである渡邊雅之氏が、無角和種を中心とした地域づくりについての取り組みや今後の展望を紹介します。
阿武町の地域資源を生かした展望
阿武町は、豊かな自然環境だけでなく、地域資源を最大限に活用していくことを目指しています。人口約3,000人と小規模な町には、高齢化という課題が存在していますが、逆にこれを地域振興のチャンスと捉えています。無角和種を中心に据えた取り組みを通じて、地元の価値観を再認識し、地域を未来に向けてどう進化させていくのかが、新たなテーマになっています。
この他にも、シェフ向けの勉強会や地域と都市部のネットワークを深める取り組みなどが計画されています。無角和種を軸とした地域振興の試みは、移住者の増加にも寄与し、豊かな地域社会の形成を目指しています。
まとめ
無角和種の育成は、単に牛肉の生産にとどまらず、阿武町とその周辺地域の未来を左右する重要な挑戦です。地域が一体となって取り組むこのプロジェクトは、土地の価値を再構築し、持続可能な地域社会の形成を目指しています。今後も無角和種の魅力を広めるための活動が続けられることを期待しています。