日本初の哲学書『善の研究』を読み解く
近年、難解で知られる哲学書『善の研究』が新たに解説され、NHK「100分de名著」ブックスの最新刊として好評発売中です。この作業を担当したのは、批評家で文筆家の若松英輔さん。彼はこの本を通じて、生きることの本質に迫る新たな視点を提供しています。
本書の背景と意義
『善の研究』は、日本の哲学の礎を築いた西田幾多郎による作品です。その内容は人間存在の問いを掘り下げ、東西の思想を融合させたものとして評価されていますが、その一方で非常に難解であるとされ、多くの人にとっては手が届きにくいものでした。しかし、番組「100分de名著」では、この本を誰でも理解できるように分かりやすく解説する試みを行っています。
4つの章を逆から読む
本書では、4つの章を逆の順番で読めるように工夫されています。これにより、難しい哲学的概念も意外に簡単に理解できるようになります。著者は、知、愛、善、純粋経験、実在、そして絶対矛盾的自己同一という5つの鍵語を通して、私たちの日常生活に哲学を結び付けています。これによって、個々の言葉がより生き生きとし、実生活に活かすことができることを目指しています。
戦後の心を潤した哲学
西田幾多郎の言葉は、戦後の日本人に多くの示唆を与えました。本書は、彼の哲学がどのように人々の渇いた心を潤してきたのかを示す手引きでもあります。「生きる」ことの本質を求める旅に出ることで、読者は新たな自己理解を深めることができることでしょう。
本書の構成
この書籍は以下のような構成になっています。
- - はじめに: 「哲学」とは何か
- - 第1章: 生きることの「問い」
- - 第2章: 「善」とは何か
- - 第3章: 「純粋経験」と「実在」
- - 第4章: 「生」と「死」を超えて
- - 特別章: 現実の奥にある「真の現実」を求めて
また、西田幾多郎の略年譜も収められており、読みやすさを心掛けて編纂されています。
若松英輔について
著者の若松英輔さんは1968年に新潟県で生まれ、慶應義塾大学を卒業後、批評家や随筆家として活動されています。彼は複数の文学賞を受賞し、さらに多くの著書を持つ哲学の専門家です。彼の作品は、哲学の難解な部分をわかりやすく表現することに主眼が置かれており、多くの読者に支持されています。
おわりに
最新刊「NHK『100分de名著』ブックス 西田幾多郎『善の研究』生活で深める哲学」は、いよいよ2023年5月23日に発売となります。その定価は1,210円(税込)で、四六判・156ページとなっています。この機会に、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。日常に哲学を取り入れることで、あなたの人生も変わるかもしれません。