JLLとIBMが提携、商業不動産向けESGレポートを改良
2024年8月、東京にて自社のサステナビリティプログラムの向上を目指し、JLL(ジョーンズ ラング ラサール)とIBMが提携しました。この新たなパートナーシップは、商業用不動産(CRE)市場におけるESG(環境・社会・ガバナンス)データの管理と報告を強化することを目的としています。
提供されるソフトウェアソリューション
JLLは、IBMのEnvizi ESG Suiteを導入し、これによりクライアントのESG関連データの収集および管理を統合的に行うことができます。このソフトウェアは、顧客が脱炭素化戦略を実施し、効率的に報告するための強力なツールを提供します。特に、ESG報告に必要なデータを迅速に収集し、効果的に管理することができるため、多くの企業にとってのコアビジネスの一環として位置付けられることでしょう。
商業用不動産市場の変化
JLLが発表した調査レポート「The green tipping point」によれば、商業用不動産市場は変革を迎えています。最近のデータでは、企業の賃貸ニーズがESG要件に応じて変化しており、今後数年間でこの傾向はますます顕著になるとされています。2025年までには、低炭素オフィススペースに対する市場の需要のうち30%が満たされない可能性が高く、これは賃貸市場における変革の兆しとも言えます。
ESG指標の統合の必要性
しかしながら、企業全体におけるESG指標の統合状況は未だ限られており、IBMの報告書「The ESG Data Conundrum」では、実際にサプライチェーンやオペレーションにESG指標を取り入れている企業はわずか20%であることが示されています。これに対し、ESG指標を業務に取り入れた企業は、競合に対して52%も高い収益性と、16%の収益成長を実現しています。このことからも、企業が持続可能な成長を遂げるためには、ESG指標をより一層業務に組み込む必要性があることがわかります。
JLLの取り組みと展望
JLLのグローバルサステナビリティサービスの責任者であるガイ・グレンジャーは、ESG報告の要件が拡大する中、顧客が求める脱炭素化のサポートを強化する意義を強調しています。また、IBMのKendra DeKeyrel氏も、AIを駆使した専門ソフトウェアを通じて、JLLの顧客に対する支援を楽しみにしています。
今回の提携は、急速に進化する商業用不動産市場において、企業の持続可能性目標を達成するための重要な一手となるでしょう。JLLの数千の顧客にIBM Enviziが導入されることで、より強固なデータ管理と報告ソリューションが実現される見込みです。
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