梅棒20周年記念公演『FINAL JACKET』稽古場レポート
ダンスとJ-POPを融合させたエンターテインメント集団、梅棒が20周年を記念して、新たな舞台『FINAL JACKET』を発表します。この公演は、9月に新たに加入したメンバーSuGuRuを加えたフルメンバーで行われるもので、初日が迫る中、全員で行った通し稽古の様子をご紹介します。
物語の概要
『FINAL JACKET』は、文明を崩壊させる力を秘めた“伝説のジャケット”を巡る物語が展開されます。5つに分かれたジャケットのパーツが見つかり、政府軍や裏社会の勢力などがさまざまに交錯する中で、壮大なバトルが繰り広げられるのです。梅棒ならではのコミカルさや幻想的な要素が引き立ちつつも、土煙が舞うハードボイルドな世界観が魅力です。バトルシーンでは、シンプルながらも迫力あるアクションが展開され、しっかりとした人間ドラマが描かれています。
力強いオープニング
オープニングシーンでは、全員が軍服を身にまとい、力強いダンスパフォーマンスを披露します。この振り付けは物語のテーマにぴったりで、緊張感あふれる中で、各キャラクターの関係性が見えてくるのが興味深いところです。主人公たちのアウトローな姿勢や、軍隊の統率の取れた行動、パーツに隠された不思議な力を駆使する姿など、キャラクターが持つ様々な“力強さ”を一度に感じ取れるのが本作の魅力です。
ノンバーバルによる表現
梅棒の作品は基本的にセリフがなく、ノンバーバルで構成されています。今作でも、懐かしさを感じる楽曲から新しいヒット曲まで幅広くカバーし、一人ひとりの表現力がキャラクターの感情を伝える大きな要素となっています。歌詞がストーリーに意外にマッチしていることもあり、観客は思わず一緒に盛り上がってしまうナンバーが多々あります。楽曲とダンスの共鳴により、改めてその魅力が際立つでしょう。
和気あいあいとした稽古風景
通し稽古では、時折振り付けの確認が入る中で、緊張感が漂いつつも和やかな雰囲気が感じられました。全メンバーが真剣に取り組む姿勢が、何度見てもワクワクする作品になっています。特に、東京公演では日替わりゲストが参加する予定ですが、メインキャストのみの作品で、モブキャラクターもすべて梅棒のメンバーが演じます。それぞれのキャラクターが持つユニークさが際立っており、観客を楽しませることでしょう。
一人ひとりの魅力
主演を務める櫻井は、クールさの中に情の深さを持つキャラクターを演じています。多くのトラブルを抱えながらも、タバコを片手にクールに対処する姿は、まさに“男が憧れる男”。また、伊藤は登場するたびに場の雰囲気を引き締め、その圧倒的な存在感で観客を惹きつけます。
梅澤はストーリーテラーとして、観客とのつながりを大切にしながら物語を進めていきます。鶴野は元気で可愛いキャラクターを演じ、物語の進展に伴い葛藤を丁寧に見せます。強烈な個性を持つ遠山は、静かな印象の役柄でありながら、熱い思いが伝わります。
さらに、今回は新メンバーのSuGuRuが加わり、ダンスや振り付けに新たな色が加わりました。そのスリルや楽しさをぜひ劇場で感じてみてください。
公演の詳細
2025年11月8日から24日まで池袋のサンシャイン劇場で上演され、その後愛知と大阪でも公演が行われます。全メンバーが集結し、熱く、泥臭く、壮大な物語を体験するチャンスは見逃せません。劇場で生の感動をぜひ味わってみてください。
取材・文 吉田沙奈
撮影 角田大樹
梅棒 20th Breakdown『FINAL JACKET』あらすじ
遠い昔、すべての人々の心を束ねる“伝説のジャケット”が存在した。その力は計り知れず、文明すらも崩壊させるものであった。ジャケットは後に5つのパーツに裂かれ、世界中に散らばった。平穏な日々が続く中、ひとりの男がその一片を手に入れたことで、様々な欲望が渦巻き始める。政府軍や監獄の囚人たちなど、あらゆる勢力が動き出し、裏切りや復讐が渦巻く中で、最後にジャケットを袖に通すのは誰になるのか。
公演概要
【作・総合演出】伊藤 今人[梅棒]
【振付・監修】梅棒
【出演】伊藤 今人、梅澤 裕介、鶴野 輝一、遠山 晶司、塩野 拓矢、櫻井 竜彦、楢木 和也、天野 一輝、野田 裕貴、多和田 任益、SuGuRu
【日替わりゲスト】現在未定
【日程・会場】
<東京>2025年11月8日(土)~11月24日(月・祝)@サンシャイン劇場
<愛知>11月29日(土)~11月30日(日)@ウインクあいち
<大阪>12月5日(金)~12月7日(日)@COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール