福井県坂井市「極味膳」で味わう、海と山の恵み!地元食材を活かした贅沢な膳料理
北陸新幹線の敦賀延伸で注目される「福井県」。古くから越前がにや甘エビなどの鮮度抜群の海鮮、大根おろしとの相性が抜群のおろしそば、分厚い肉が食欲をそそる若狭牛など、美味しいものが溢れる「美味し幸の国」として知られています。
そんな福井県の中でも、海、山、川の三拍子揃った坂井市は、まさに食の宝庫。坂井市商工会が厳選した25店舗が、地元の豊かな食材を活かした「越前坂井 うららの極味膳」を提供しています。
今回は、その中でも特に人気が高い2店舗、「レストラン 朱雀」と「そば処 一筆啓上」を訪れ、こだわりの極味膳を堪能してきました。
最高ランクのヒレ肉にこだわるステーキ専門店「レストラン 朱雀」
福井市と芦原温泉を結ぶ幹線道路沿いに佇む「レストラン 朱雀」。和風造りの平屋建てレストランは、緑豊かな庭園に囲まれ、昭和レトロな雰囲気漂う落ち着いた空間です。
朱雀の極味膳「初代春之助膳」は、150g以上の分厚い若狭牛ステーキに、新鮮な地魚のお刺身、炊き合わせ、小鉢などが添えられた豪華な御膳です。
二代目の竹内博之社長は、「父が始めたこの店は、当時はモータリゼーションの波に乗り、庭園レストランが流行っていたんですよ」と当時の開業秘話を語ります。
博之社長は、高校卒業後すぐに店に入り、厨房で調理を手伝ったそうです。「父は頑固な人で、跡を継げとは言わなかったのですが、仕事ぶりは真面目でした」。そんな父の背中を見て育った博之社長は、「極味膳には父の、春之助の名前を付けたかった」と、深い愛情を込めて語ります。
朱雀では、長年若狭牛の上質ヒレ肉にこだわり、最高のステーキを提供してきました。近隣では「朱雀と言えばステーキ」と言われるほど、その評判は確かなもの。県外からもリピーターが訪れるほどの人気です。
ステーキ肉は、若狭牛の中でも最高ランクの「三つ星若狭牛」を使用。厨房の冷蔵庫には、重さが6~10kgもあるヒレの枝肉がずらりと並んでいます。「肉質の等級でいうとA5ランク。うちはA5のヒレしか扱いません」と、シェフの竹内二三さんは力強く語ります。
二三さんは、開店から52年、厨房を預かるベテラン調理人で、博之社長の叔父にあたる人物。牛肉の見極め、焼き、味付けと、ステーキに関しては、博之社長も二三さんに全幅の信頼を寄せています。
巨大なまな板の上で、ヒレ枝肉から丁寧に脂身をそぎ落とし、分厚いステーキ肉が切り出されます。肉の断面を見せながら、「ほら、いいサシでしょう。これが美味しさの証しです」と二三さんは説明します。
黒光りするフライパンの上で、脂がジュウウウ~と音を立てて跳ねます。コンロ前で腰に手をやり、じっと音を聞き分ける二三さんの姿は、まさに熟練のステーキ職人そのものです。
値段が1万円を超えるステーキ料理に比べて、極味膳は若狭牛ステーキに数品を添えて7,800円と、大変リーズナブルな価格設定となっています。「なぜ、そんなに安いのですか?」と尋ねると、博之社長は「極味膳だからですよ。極味膳は、各店が坂井市の海、山、里の最高の食材を使った料理です。だから、地元客にも観光客にも味わってもらいたい」と、地元への愛を込めて答えます。
丸岡産そばの風味豊かなおろしそば「そば処 一筆啓上」
「おろしそば」は、福井県を代表する麺料理。中でも坂井市丸岡産のそばは、そば通の間でも絶品と評判です。越前の母なる川、九頭竜川の豊富な水と坂井平野の肥沃な土地で育った在来品種のそばは、香り高く、風味豊かで、薄青緑がかった美しい色が特徴です。
現存12天守のひとつ、丸岡城を眼前に望む場所に建つ「一筆啓上茶屋」にある「そば処 一筆啓上」は、平日でもお昼時は地元客や観光客で賑わう人気店です。店先では、石臼で玄そばがじっくりと挽かれる様子を見ることができます。
開店2時間半前の朝8時半。茶屋の2階では、女性スタッフによるそば打ちが始まります。のし棒を巧みに操り、練ったそば粉を平らに伸ばしていく姿は、まさに職人技。
「毎日2人で120食ほどのそばを打ちます。古城まつりなどのイベントがある時は、300~400食ほど打つこともあります」と、店長の辰巳真由美さんは話します。福井のそば屋では、男性がそばを打つのが一般的ですが、この店の打ち手は女性ばかり。3人とも地元の丸岡そば振興協議会認定の有段者で、「女性ならではの繊細なそばの持ち味」が、この店の魅力です。
こだわりの丸岡産そばを使ったおろしそばは、口当たりがよく、弾力があり、独特の風味を楽しめます。「私も、よそのそば屋に行くことはありますが、丸岡産のそばは口当たり、弾力が違います。やっぱり丸岡産が一番だと実感します」と、辰巳さんも丸岡産そばの美味しさに惚れ込んでいます。
「福井県人セット」(920円)は、おろしそばにソースカツを組み合わせた人気メニューですが、極味膳の「大名ヘルシー蕎麦」(1,180円)も県外客を中心に人気です。ざるそばとおろしそば、それに大根の葉に味噌をあえた菜めしが付く、ボリューム満点の御膳です。
「極味膳は、不思議と、ひとつ注文が入ると続けて注文が入るんですよ」と辰巳さん。
30種類以上のメニューすべてを考案したのは、店を運営するイワタグループの岩田良治代表取締役。岩田代表は、「僕は祖母に育てられたので、祖母が作ってくれた大根葉のおあえ(菜めし)も故郷の味だと思うんです。だから極味膳には、丸岡産のそばと大根葉という、昔ながらの丸岡の味を詰め込みました」と、故郷の味への強い思いを語ります。
「極味膳」は、坂井市の豊かな食文化を伝えるプロジェクト
「極味膳」は、坂井市の飲食店が連携し、地元の食材を使った「膳料理」を統一ブランドとして提供する食の地域活性化プロジェクトです。2011年からスタートし、現在では25店舗が参加しています。
「当初は約50店舗で始まった事業も、現在は25店舗と半減してしまいました。しかし、コロナ禍で飲食業界が大打撃を受けた中でも、店側はスクラムを組んでお客さまに提供し続けています。坂井市は、海、里、山、それに平野と、それぞれに豊かな自然に恵まれた食材があり、ひとつのエリアでこんな多彩な食に恵まれた土地はそうない。新幹線が福井に来た今、食の恵みを旅行客にも味わってほしい」と、極味膳推進委員長の岩田龍見さんは、プロジェクトへの熱い想いを語ります。
坂井市を訪れたら外せない!極味膳で食の旅を楽しもう!
坂井市には、極味膳を提供するお店以外にも、魅力的な観光スポットや美味しいものがたくさんあります。
雄大な自然が広がる東尋坊や越前松島、歴史を感じる丸岡城、北前船交易で栄えた三国湊など、見どころ満載です。
新鮮な海の幸、こだわりの農産物、そして伝統的な文化に触れることができる坂井市。ぜひ、極味膳を味わって、食の旅を楽しんでください。