インベストメント市場動向
2024-07-29 13:34:27

2024年上半期の日本のインベストメント市場動向と未来の展望

2024年上半期の日本のインベストメント市場動向



グローバル不動産総合サービス企業、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は、日本市場におけるインベストメントの現状についての詳細なレポートを発表しました。2024年上半期の投資用不動産に対する売買取引高は、前年と比較して22%の減少が見込まれる中で、海外からの投資の増加が期待されています。

市場の概要



C&Wは最新のレポートをもとに、今後12か月のシナリオ分析をすすめています。米国大統領選挙などに備えた動向が見逃せないと指摘しつつ、中央銀行による利下げの影響を受けて欧米不動産市場の回復も観測されていますが、国内投資家からの資金流入は引き続き鈍化する見込みです。特に、日銀の金利政策には大きな変更は期待できず、対外要因の影響によるリスク・プレミアムの上昇にも注意が必要とされています。

この状況の中で、強気の買い需要が続く賃貸住宅では、実績として簿価を割る可能性も指摘されています。また、インフレが常態化する中で特に物流施設の賃料の伸びは鈍化してきています。個人投資家による投資が一段と増加する見通しであり、特に資本コストが低い投資家の存在は今後の市場に影響を与えるでしょう。

マクロ経済環境



円安の進行により、金利が緩やかに上昇している現状です。2024年第2四半期には実質GDP成長率が2.2%を見込まれているものの、通年で見ると令和6年能登半島地震や自動車メーカーの生産停止などが影響し、-0.3%となる予測がされています。また、海外でもインフレ鈍化や利下げが進む中、日本は牽引役の地位を確立する必要があります。

特に、為替動向や金利差が影響し、ドル円相場は6月には160円を超える可能性もあります。円安が長期化することで、輸入材のコスト増加によるインフレが続くと見られています。

取引動向



過去12か月を振り返ると、投資用不動産の年間売買取引高は約8兆円に達し、前年同時期比で2.7%の微減となりました。上場企業やJ-REITの投資は11%減少しており、一方で国内投資家の取得は17%増加しています。しかし、売却物件の不足が続くため、全体としてはたやすく改善しない状況です。

賃貸住宅の投資は22%増加しており、インフレによる賃料上昇期待が寄与しています。対して、店舗、物流施設、オフィス、ホテルなどの取引は減少傾向にあり、その背景には賃料の横ばい推移や売却適格物件の不足があります。

プライシングのトレンド



金融機関は引き続き積極的な姿勢を見せていますが、インフレにより賃貸事業の費用上昇が見られます。特にホテル以外の資産クラスでは収益率が最低水準に達しており、価格上昇は鈍化している状況です。都市部のオフィスや賃貸住宅ではキャップレートが2%台の取引も観測されていますが、リスク・プレミアムの格差の拡大や個別資産の価格調整が続く見込みです。

2024年上半期には、価格調整の続くホテルのポートフォリオ取引が見られ、資本効率を求める事業者による取引が注目されています。この中で、KKRはセールスアンドリースバックを通じた資本効率の改善を提案しています。

今後のインベストメント市場の動向を注視し、資産運用の戦略を立てることが重要です。


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会社情報

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