エクレクトと叡啓大学の共同研究の概要
東京都世田谷区に本社を置く株式会社エクレクトが、広島県立の叡啓大学と共に進めた新たな研究が、国際ポジティブ心理学会で発表され、大きな注目を集めています。
この共同研究は、企業における従業員のウェルビーイングを促進すべく、ライフスタイルとワークスタイルの両面からのアプローチを重視しています。研究チームは、従業員がより良い生活と労働環境を実現するための統合的プログラムを開発し、そのプロセスがどのように人々の変容を促すかを評価しました。これにより、働く人々が幸福で充実感を得るための基盤が築かれました。
研究の目的と成果
このプロジェクトには、主に2つの目的があります。まず一つ目は、生活と仕事の質を統合的に向上させるプログラムを通じて、自主的な自己変革のプロセスを解明することです。そして2つ目は、その変革プロセスの有効性を、中長期にわたるウェルビーイングの観点から検証することです。
研究の中で、ウェルビーイングを向上させるための重要な要素として以下の三つのプロセスが導き出されました。
1.
主体的な自己調整
2.
協働的な問題解決
3.
ポジティブな感情や経験
これらのプロセスは、さらに「認知的柔軟性」「自己効力感」「課題に対する価値認識」といった基盤の上に成り立っていることも明らかになり、参加者の変容プロセスには振り返りを通じて自分自身を見つめ直すことが重要であると確認されました。研究に参加したものの、少なくとも1つの前向きな変化が見られたことから、このプログラムが一定の効果を発揮していることが示されています。
研究の実施内容
この研究は、混合研究法を採用し、質的な探索的研究と量的な実証的研究を段階的に実施しました。第一のフェーズでは、広島県の大崎上島で3週間の合宿型プログラムを行い、参加者12名の変容プロセスを観察しました。彼らは科学的知見に基づいた生活習慣の改善、協力し合いながらの問題解決を学び、成果を数値化して可視化することに取り組みました。
第二のフェーズでは、フェーズ1の成果を基に、77名を対象とした5日間のオンラインプログラムが実施されました。このプログラムでは、心理的ウェルビーイングや自己効力感などを4回にわたって測定し、プログラム前後の変化を分析しました。その結果、プログラム参加者のウェルビーイングが有意に向上することが確認されました。
今後の展望
これからは、この研究で得た成果をもとに、人材育成に役立つプログラムをさらに発展させていく予定です。特に、認知的柔軟性に着目した新たなプログラムの開発にも取り組み、多様な企業文化や業種に対応できる研修プログラムの展開を視野に入れています。
共同研究者の保井教授は、今回の成果がビジネス界、特にIT業界におけるウェルビーイングデザインの進展に寄与することを期待しており、この研究が生活と仕事の質を共に高める道しるべとなることを強調しています。エクレクトの代表、辻本真大氏も、ウェルビーイングをビジネスの核心に据えた運営方針を今後も推進することを表明しました。
エクレクトが目指すのは、顧客体験だけでなく、従業員の体験までも大切にしたトータルソリューションの提供です。研究成果を通じて、将来的な変革やイノベーションに向けた新たな基盤が築かれることに大いに期待が寄せられています。