写真史に残る名作「舌出し天使」展
1965年、写真家・立木義浩氏によって発表された衝撃的な写真作品「舌出し天使」。この作品発表から60周年を記念し、フジフイルム スクエア 写真歴史博物館にて大規模な写真展が開催されます。
本展では、立木義浩氏が厳選したゼラチンシルバープリント25点に加え、なんと「舌出し天使」のコンタクトシート約25点が初公開されます。コンタクトシートとは、フィルムに残された撮影順の画像を一枚にまとめたプリントで、通常は公開されない貴重な資料です。これにより、若き日の立木氏が何を見、何を感じてシャッターを切ったのか、その創作過程を深く知ることができるでしょう。
高度経済成長期、そして伝説の誕生
1964年、高度経済成長期の真っ只中。当時、広告制作会社に所属していた27歳の立木氏は、『週刊平凡』や『平凡パンチ』といった新進の雑誌で活躍していました。そんな彼に目をつけたのが、『カメラ毎日』誌の編集者・山岸章二氏です。「ノーギャラだが、何をやっても自由」という大胆な条件で、立木氏に「舌出し天使」の撮影を依頼しました。
モデルは、アメリカ人の父親を持つ17歳の山添のり子さん。アドリブとセットアップを交えた撮影は、自由闊達なセッションのようだったと言われています。200枚にも及ぶ撮影の中から、イラストレーターの和田誠氏が写真集のように誌面を構成。評論家・草森紳一氏の解説、歌人で劇作家の寺山修司氏の詩が加わり、完成した「舌出し天使」は『カメラ毎日』1965年4月号に56ページにも渡り掲載されました。
コンタクトシートが語る、創作の軌跡
本展の見どころは、なんといっても初公開となるコンタクトシートです。このコンタクトシートには、作品に選ばれた写真だけでなく、撮影された多くの写真が収められています。そこには、モデルの様々な表情や、撮影時の状況が記録されており、立木氏の創造のプロセスを垣間見ることができます。
これらの写真から、当時の時代背景や、若き写真家・立木義浩氏の情熱、そして「舌出し天使」という作品が持つ奥深い魅力を改めて感じ取ることができるでしょう。
展示概要
写真展名: フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展 立木義浩写真展「舌出し天使 CONTACT SHEETS – 眼差しの軌跡 –」
会期: 2025年1月6日(月)~3月26日(水)
会場: フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 (東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン ミッドタウン・ウェスト1F)
入館料: 無料
併催イベント: スペシャルギャラリートーク(立木義浩氏をゲストに迎えたトークイベント。参加無料、予約不要)
立木義浩氏について
1937年徳島県生まれ。東京写真短期大学(現・東京工芸大学)卒業後、アド・センターに入社。1965年「舌出し天使」を発表後、フリーランスとして活躍。女性を中心に多くの著名人を撮影し、広告、雑誌、出版など幅広い分野で活躍しています。数々の写真集を発表しており、日本の写真界に多大な貢献を果たした巨匠です。
この機会に、写真史に残る名作「舌出し天使」と、写真家・立木義浩氏の軌跡をぜひご堪能ください。