新刊『「地頭力」を鍛える子育て』の魅力
2023年10月14日、新たな教育書『「地頭力」を鍛える子育て ― 自ら学び、考える力がアップする確かな方法 ―』が出版されました。この著書は、株式会社児童英語研究所の代表を務める言語学者、船津洋氏による作品で、現在の教育現場が抱える問題点とそれに対する解決策を提示しています。
教育現場では、テストの解答や漢字の書き取りができる子どもたちが多い一方で、文章の内容を根拠に自ら説明する力や登場人物の心情を読み取る能力が不足しているという現象が見られます。船津氏はこの現象を「音韻符号化はできるが心内表象化に至っていない」と説明し、これは理解力に欠ける状態であると指摘します。
地頭力の定義
本書では「地頭力」を、認知力(理解力や論理性)、非認知力(共感や責任感など)、メタ認知力(気づき)の3つの要素が相互作用する総合力として定義しています。具体的には、以下のような内容です。
- - 認知力: 言語を通じて、理解や論理展開を鍛える力。
- - 非認知力: 共感や倫理観を主体的に育てる力。
- - メタ認知力: 自らの学びや行動を客観的に捉え、修正する力。
本書の主要なポイント
本書は家庭での学びに着目し、次のポイントを強調しています。まず、国語力を『学びの要』と位置付け、言葉を通じて「理解→思考→判断→表現」のプロセスを丁寧に育てることが重要だとしています。また、非認知力を倫理観で再定義し、共感や責任感を適切に整えることが生きる力の基盤であると説いています。
さらに、メタ認知力が学び方を変えると言及。学びのプロセスを「順序立て→検証→振り返り→修正」といったサイクルに流し込むことで、学力だけでなく幸福感を向上させることができると述べています。家庭での実践については、“増やす”のではなく“減らす”ことを提案し、塾やプリントに頼るのではなく日常の対話や観察を通じて育てる姿勢を奨励しています。
4つの地頭力タイプ
また、子どもを「地頭力型」「勉強できる型」「空回り型」「あきらめ型」という4つのタイプに分けるマトリクスを示し、自己診断を行うことで現状把握と改善のための指針を得ることができる仕組みも紹介しています。これにより、親は適切な指導方法を見いだすことができ、自ら学ぶ力をより高めることが期待されます。
著者プロフィール
船津洋氏は東京都出身で、言語学の領域で広く知られる専門家です。上智大学の言語学部を卒業し、長年にわたり子どもの英語教育や発達研究に携わってきました。彼が開発した「パルキッズ」は多くの家庭で利用され、現在までに10万組以上の親子に支持されています。
まとめ
本書は、暗記中心の教育からシフトし、家庭でのコミュニケーションと確かな学びを通じて子どもを育てる新たな視点を提供します。教育の現場で直面している課題を解決するために、家族が協力して取り組める具体的な戦略として大いに注目されています。