計算社会科学会大会での業績
2025年、筑波大学東京キャンパスで開催された第4回計算社会科学会大会(CSSJ2025)において、株式会社朝日新聞社のメディア研究開発センターに所属する新妻巧朗氏が主著の論文が大会優秀賞を受賞しました。この画期的な成果は、現在の情報社会におけるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の重要性を改めて考えさせるものです。
論文の内容
新妻氏の論文では、SNS上での情報拡散のメカニズムを解析し、特にインフルエンサーの役割に焦点を当てています。インフルエンサーとは、特定のテーマや領域において多くのフォロワーを持ち、その発信する情報が広がりやすい、影響力の強いアカウントを指します。
研究の中で新妻氏は、他者の情報をシェアしたりリポストしたりする際に、インフルエンサーの影響がどのように働くのかを検証しました。具体的には、インフルエンサーが情報を共有した場合、一般のユーザーが共有する場合と比べて、情報が広がる確率やスピードに違いがあるかを分析したのです。
結果の要点
研究により、インフルエンサーが発信した情報は、彼らでないユーザーに比べてはるかに拡散しやすいことが確認されました。この現象を「名声バイアス」と呼び、情報発信者の地位や信頼性が拡散に大きな影響を与えることを明らかにしました。この知見は、SNSにおけるフェイクニュースの広がりを理解する上でも意義があります。
研究背景
本論文は、新妻氏の指導の下、北陸先端科学技術大学院大学の中分遥准教授、筑波大学の吉田光男准教授と共同で進められたものです。計算社会科学会は、さまざまな分野からの研究者が集まり、情報科学の観点から社会の仕組みを解析する場として、年々その重要性を増しています。
メディア研究開発センターについて
朝日新聞社のメディア研究開発センターは、2021年に設立され、最先端のメディア技術の研究と実践を行っています。人工知能や自然言語処理といった最新技術を駆使し、新聞社としての特性を活かして、社会的問題の解決に貢献することを目指しています。今後の活動にも期待が寄せられています。
論文情報
論文の詳細は以下の通りです:
新妻巧朗, 吉田光男, 田森秀明, 中分遥. インフルエンサーのリポストと情報拡散: オンラインコミュニティにおける威信バイアスの検証 . 第4回計算社会科学会大会(CSSJ2025), February 2025.
本研究がもたらす洞察は、SNS時代の情報拡散に対する理解を深め、ユーザーの行動やインフルエンサーの影響力について新たな視点を提供するものです。今後の研究にも期待したいところです。