AFT OPT©が切り拓く造船業の未来
スイスのLR-Shipdesign AG(LRSD)が展開するAFT OPT©は、造船業界に革新をもたらす技術です。2024年3月に発表されたこの技術は、特に船体設計における独自のアプローチで注目されています。今回、LRSDは15,000TEUのコンテナ船建造プロジェクトに参加し、この先進技術が実際の船舶設計にどのように貢献するかが明らかになりました。
AFT OPT©の最大の特徴は、船底デザインをプロペラ前に最適化することです。これにより、プロペラと舵のデザインとの統合が進むことで、全体的な性能が向上します。特に日本の造船業界では、今まさにこのテクノロジーへの関心が高まっており、LRSDは2024年夏に日本の造船会社を訪れ、この技術を直接紹介する機会を持ちました。
この新しい設計がもたらす利点は驚くべきもので、流体力学の面で3.5%以上の改善が確認されており、推進力も大幅に向上しています。具体的には、設計速度22ノットの「V4」型では、メインエンジンのパワーリダクションが5%以上実現されることが示されています。
AFT OPT©による効果
AFT OPT©技術がもたらす効果は多岐にわたります。まず、船体の抵抗を減少させ、その結果後流の流れを改善します。これにより、プロペラへ向かう水流が効率的に推進力を生むのです。また、独自の船体形状がクランクシャフトに負荷をかけることなく推力を生み出し、メインエンジンの速度を抑えることが可能となります。
さらに、ラダーの中立操舵角も±4度改善され、風や波による影響を受けにくくなります。これにより、船舶の操縦性が向上することは、操船者にとって大きなメリットとなります。振動や騒音も軽減されるため、乗船者の快適性が高まることも期待されます。
また、国際海事機関(IMO)では、CO2排出量の削減が求められていますが、AFT OPT©を活用することで、燃料消費量を削減することができ、環境問題にも貢献することが可能です。プロジェクト初期段階で導入効果が得られるため、運用コスト(OPEX)を劇的に削減し、環境保護への長期的な寄与につながります。
さらに、同じ設計を複数の船舶に適用する場合、燃料消費の削減やCO2排出量の価値により、2隻目以降の投資回収が1年未満で可能というデータも得られています。これは、造船業の競争力を高め、持続可能な未来に向けた大きな一歩となるでしょう。
今後、この革新的な船体設計技術がますます普及し、造船業界に新しい風を吹き込むことが期待されています。日本国内における情報提供は、San-Ten Consultingが担当しており、詳細は
こちらのリンクから確認できます。
AFT OPT©は、まさに造船業の未来を切り拓く力強いパートナーと言えるでしょう。