台湾の自動運転スタートアップ、Turing Drive
最近、台湾の自動運転技術を持つスタートアップ、Turing Driveが日本の交通ソリューション企業Xtranと提携し、沖縄県宮古島で無人運転車両の実証実験(PoC)を行い、成功裏に終了したことが発表されました。このプロジェクトは、日本貿易振興機構(JETRO)が推進する「J-Bridge」プログラムの支援のもと、行われました。
日本の公共交通の現状
日本では少子高齢化が進んでおり、公共交通の分野では人手不足という深刻な問題が浮き彫りになっています。国土交通省の2023年の調査によれば、バス運転手の数は過去10年で約10%減少し、50歳以上の運転手が60%を占めています。特に地方では公共の交通手段が不足し、高齢者にとっての移動手段が確保できないという大きな課題があります。地域の持続可能性のためには、高齢者が自由に移動できる交通手段の確保が求められています。
Turing Driveのアプローチ
Turing Driveは2018年に設立され、台湾を拠点に自動運転技術を展開し、アメリカ、インド、中国、タイ、日本の6カ国で事業を行っています。同社は特に遊園地、ゴルフ場、港湾、工場内のシャトルバスなど、制御された環境における自動運転システムの開発に力を入れており、商用システムの導入実績も豊富です。
この度の提携を通じて、Turing DriveとXtranは、宮古島での成功を基に、広島県や徳島県など他の地域への展開も視野に入れています。
Xtranについて
Xtran株式会社は日本の情報通信インフラ業界で30年以上の実績を持つAbe Noritaka氏によって設立され、地域密着型の交通プロジェクトを積極的に進めてきました。自動運転技術に関するパートナーシップは、地域社会に新たな可能性を提供するものとなりそうです。
Turing Driveの目標
Turing Driveのビジネス開発責任者、陳維隆(Hubert Chen)氏は「日本市場は当社にとって最も重要な海外市場です。信頼性が高く、自動車技術でも世界をリードする日本でパートナーシップを結べたことは大変意義がある」とコメントしています。また、現在の会社の売上の約70%は日本市場から得られていると述べています。
自動運転の未来
日本政府も自動運転技術の推進を進めており、国土交通省は2027年までに100件以上の自動運転プロジェクトの実現を目指しています。今回の実証実験の成功は、Turing DriveとXtranの取り組みが地域の交通の持続可能性を実現するモデルケースとなることに期待が寄せられます。今後の展開に目が離せません。