震災から15年、若者たちの成長の軌跡
2026年6月6日と7日、東海大学熊本キャンパスにて行われた日本NPO学会第28回研究大会で、『若者の「成長」を目的化しない地域実践と地域に通い続ける若者の形成』に関する実践報告が行われました。これは、震災から15年後の現代における大学生たちの成長を探る重要な機会となりました。
若者の成長意欲とその背景
近年の調査によると、就職先を決める際の要因のトップは「自らの成長が期待できる」で、これを選ぶ若者は50.1%に達しています。この『成長』志向は、逆に周囲と比較して自らの位置を気にするあまり、横並びに成長を求める不安から生まれる場合もあります。こうした状況の中、2013年から岩手県陸前高田市で実施されている実践型まちづくりインターンプログラム「Change Maker Study Program(CMSP)」は、成長を前面に出すことなく参加者を募った結果、深い成長を促すことに成功しています。
CMSPの参加者たちの成長
報告において、参加した大学生たちが実際にどのような成長を体験しているのか、具体的な例が示されました。月次アンケートから得られたデータでは、参加者は「コミュニケーション能力」「自己理解」「チームワーク」への意識が向上したと継続的に報告しています。ヒアリング分析からも、実際に高い孤立感を抱えていたAさんが地域住民との関係構築を通じて深い人間関係を築き、進路選択をするに至ったエピソードが語られました。また、Bさんは、長年抱えていた夢を宣言することで、自信と幸福感を得るに至ったといいます。
CMSPでの成長は次の二点にまとめられます。
1.
視野を広げつつ他者や地域との関わりを強め、個人およびチームとして成長を体感している。
2.
仲間とコミュニケーションを重ねることで、自己表現力や協働力をみがき、他者との連携で成長を目指す姿が見られる。
成長を支える条件
CMSPによって得られた成長の背後には、以下の三つの条件が存在します。
1.
CMSPのルールと文化:意見を否定しない文化や自由に議題を深掘りする環境が、参加者の自己肯定感を高めています。
2.
チームメイトとの絆:仲間との支え合いがあり、信頼の蓄積が自己理解を深めています。
3.
地域住民とのつながり:地域住民との対話を通じて、自らが地域に貢献できる実感を得ることが、若者の成長につながっています。
現在の課題と今後の展望
震災から15年が経過し、現在の大学生は震災の実体験を持たない世代です。彼らは現在陸前高田に何を求め、どのように地域に関わっていくのか、これを明らかにし、事業設計や広報方法を見直す必要があるとの指摘があります。それにより、さらなる地域活動の深化が図られるでしょう。
SETについて
認定NPO法人SETは、2011年の東日本大震災後に設立され、岩手県を中心に活動しています。若者と地域住民がともに学び合う仕組みを築き、持続的な地域づくりに貢献しています。2024年度には年間5,000人以上が参加する見込みで、多様な地域で活躍しています。SETの取り組みを通じて、若者の成長と地域の活性化を両立させることを目指しています。
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