近年、働く女性を取り巻く環境は変化の兆しを見せています。特に更年期を迎えた女性たちは、健康問題や心理的な圧力によりキャリアから静かに離れていくケースが増加しています。この状況を打破すべく、株式会社陽と人(ひとびと)とパラマウントベッド株式会社は共同で新たな取り組み「サイレントシフト(Silent SHIFT)」を立ち上げました。
このプロジェクトは、企業が更年期世代の女性が抱える健康課題に気づき、支援の在り方を見直すことを通じて、企業価値の向上を目指しています。具体的には、働く女性が健康不安を抱えながらも自身の声を上げづらく、キャリアから静かに退く現状に対する課題を明確にし、企業側の意識改革を行うことを狙いとしています。
「サイレントシフト」という名称には、女性の健康問題に対する静かなる抵抗感や、人的資本の沈黙を変革するという強いメッセージが込められています。このプロジェクトでは、まずは第1回カンファレンスを開催し、働く女性2000人を対象とした「キャリアとヘルスケアに関する価値観調査」の結果を分析・公表します。これにより、企業が抱える人的資本の課題について具体的なデータを交えながら深く議論を進める予定です。
サイレントシフトの進行状況
2023年に始まったこのプロジェクトでは、既に複数の企業で、働く更年期女性を対象とした「Menorista.(メノリスタ)」という支援プログラムが提供されています。この取り組みでは、職場環境の見直しや健康支援プログラムの実施を通じて、ヘルスケア意識の向上が図られています。実際に、参加企業からは好意的な反応が寄せられており、プログラム利用者の中ではプレゼンティーズムの減少が見られています。
調査結果から見えた現実
最近の調査では、約半数の女性が不眠症状を抱えており、それがキャリア選択に影響を与えていることが明らかになりました。特に昇進を辞退する際には、不眠や更年期症状が大きな要因となっていることが指摘されています。
「今の自分が10年前に想像していた働き方」との質問には多くの回答者が‘悲しみ’を感じているとの結果も。これにより、企業による支援の重要性が一層強調されました。
カンファレンスでの発表内容
「見落としてきた人的資本の機会損失DEIとヘルスケアからひも解く人材流出 - Silent SHIFT」と題されたカンファレンスでは、最新の調査結果の発表とともに、企業が抱える女性のキャリア支援の必要性について専門家によるディスカッションが行われます。これにより、企業の支援方法や健康管理のアプローチについて具体的なビジョンを共有する場にする予定です。
今後の展望
この「サイレントシフト」は単なる啓発活動だけではなく、今後は男性を含む多様な層を対象とした調査も実施し、より広範囲な支援体制の構築を目指しています。働く女性が安心してキャリアを築ける環境を提供するために、企業や行政との連携も強化していく計画です。2025年度には調査レポートを発表し、具体的な支援プログラムの開発に繋げることで、より良い働き方と暮らしの実現に貢献する所存です。
サイレントシフトにより、企業も女性もともに支え合い、共に成長できる社会の実現が期待されています。