一般財団法人日本老人福祉財団は、東京都中央区に本部を置き、全国7カ所で介護付き有料老人ホーム「ゆうゆうの里」を運営しています。この財団は2023年、設立50周年を迎え、次の50年へ向けての新たな挑戦を始めることを公表しました。
第四期中期事業計画の背景
日本は超高齢化社会に突入し、2025年には4人に1人が75歳以上になるとも言われています。この急速な少子高齢化に対し、高齢者が安心して生活できる福祉サービスの充実は社会全体での大きな課題と言えるでしょう。日本老人福祉財団は、その中で「高齢者コミュニティを創り、財団の永続性を確保する」という理念のもとに、2035年に目指す理想像「ビジョン2035」を設定し、第四期中期事業計画を策定しました。
第三期事業計画の振り返り
事業計画を立案するにあたり、まずは過去の第三期(2021年〜2023年)を振り返りました。この間には、新型コロナウイルスの影響を受け、財団の各面に於いて多数の課題が発生しました。しかし、この経験を通じて、感染症対策としての有効な体制を構築し、事業自体の安定性を維持することができました。特に、見守り機能やデジタル技術を活用したサービスの導入が遂行され、サービス品質の向上が図られました。正味財産も計画目標を前倒しで達成し、次の目標へ向けた基盤を整えることができました。
第四期中期事業計画の概要
第四期中期事業計画では、財団が2035年に目指す姿として『時代を先取りした「高齢期の豊かな暮らし方」を提案する財団』を掲げています。このビジョンを実現するために、高齢者が希望と意欲を持って生きるための3つの基盤—健康づくり、生きがいづくり、仲間との交流—を中心にサービスを展開していくことに重きを置いています。
業務の深化と創造
具体的な戦略としては、サービスの質を向上させるため、認知症や終末期の方にも特別な配慮をしたケアを提供することが含まれています。また、情報技術や福祉用具の導入によって、より安全で安心な介護環境を整えること、元気なうちからの入居を促す活動の強化も重要なポイントです。これにより、地域社会で笑顔あふれるコミュニティを再構築し、健康寿命を延ばすための施策を実施していきます。
組織の強靭化
組織面では、理念に基づく組織強靭化を目指し、業務の改革や教育制度の最適化を進めていきます。2023年には新人事制度を導入し、職員の評価制度を見直すなどの取り組みも行っています。
財務管理の強化
財務面では、持続可能な経営を実現するために、定期的な入居金の見直しや新規事業に向けた資金計画を策定します。これにより、安定的な財務基盤を構築し、中期的な目標を達成する基盤作りを行います。
未来への展望
日本老人福祉財団の理事長、小口明彦氏は、これまでの取り組みを振り返りながら、新しい計画に向けた強い意志を示しています。「我々はただのケアビジネスではなく、高齢者が自らの尊厳を持って生きるための環境を提供したい」と述べています。また、財団は今後、地域の学生や子供たちに介護の魅力を伝え、次世代の介護者育成にも取り組むとしています。
日本老人福祉財団は、高齢者の方々が自分らしく、安心して暮らせる社会を実現するため、これからも努力を続けていくことでしょう。第二の50年に向けたその旅路に、私たちも注目していきたいと思います。
日本老人福祉財団について
設立は1973年、介護付き有料老人ホーム「ゆうゆうの里」を全国で展開。自立した生活を支援するという理念のもと、高齢者が生涯安心して暮らせる環境を提供しています。