EC業務におけるAI活用の現状と課題
株式会社Nintが発表した「EC業務のAI活用 実態調査 2026」では、100名のEC事業者を対象にAI利用の実態が調査されました。個人のAI利用が非常に高い割合を示す中、業務でのAI導入はまだまだ進んでいないという結果が出ました。
個人利用が93%に達する現状
調査結果によると、個人でのAI利用が「ほぼ毎日」という回答は71%に上り、週に数回利用する人を加えると93%もの人がAIを日常的に活用しています。利用未経験者はわずか1%と、AIの普及が個人レベルでの中心的なトピックであることが強調されています。
業務の自動化は未だ手つかず
一方で、業務のAI化は大きな課題として残っており、36%の人が業務の自動化は手付かずだと感じています。開発系AIツールも59%には未使用という実態が浮かび上がりました。個人ではAIを利用しているにもかかわらず、業務プロセスにAIを組み込むところには壁があります。
これらの統計は、「個人のAI利用」と「業務のAI利用」には明確な断層があることを示しています。
定型業務に時間を費やす現場
調査によれば、集計や報告、レポート作成などの定型業務に週5時間以上を費やしていると答えた人は51%に達し、そのうちの24%は週10時間以上もこれらの業務に充てているとのことです。これは年間で240時間、つまり1人あたり1ヶ月分の労働時間が単純な業務に消費されているという計算になります。
主要な業務の内訳としては、データ転記や集計作業が最も多く37%、続いて社内報告や会議資料作成が36%、売上レポート作成が31%を占めており、効率化の必要性が再認識されます。
戦略立案ができない現実
調査で示された最も顕著な結果の一つは、68%の人が「競合・市場データを活かした戦略立案」に時間を割けていないということです。企業の運営が日常業務に捉えられ、最も重要な戦略的な仕事が後回しにされる傾向が明らかになりました。
投資を断念する理由
AIやデジタル投資を断念した経験があると答えた人は48%で、その理由は経済合理性に起因しています。「費用対効果が不明」や「投資額が高過ぎた」がそれぞれの半数を占めていました。このような結果は、小規模な予算で始めて効果を確認できる導入の仕方であれば、導入障壁を軽減できる可能性を示唆しています。
調査の完全版について
この調査のハイライトを紹介しましたが、完全版のレポートではさらに詳細な分析が行われています。企業の規模によるAI導入の違いや業務効率化を妨げる構造的な課題、AI活用度の自己評価、現場の声、さらには業務のAI化に必要な条件についても触れています。このレポートは、全17ページにわたっており、Nintの公式サイトから無料でダウンロードが可能です。
結論
現在のEC業務におけるAI活用の実態を通じて、個人と業務の間に存在する明確なギャップが示されました。これらの結果は、今後の業務改善やAI導入にとっての重要な指針となり得るでしょう。Nintの調査は、これからのEC業界におけるAIの役割を考える上で、非常に意味のある情報となっています。