札幌市と両備システムズが提携し旅費事務の実証実験を開始
株式会社両備システムズは、北海道の札幌市と連携し、生成AI及びAIエージェントを活用した旅費事務の効率化に向けた実証実験を実施することを発表しました。これは、職員の事務負担を軽減し、自治体のデジタル化(DX)を推進することを目的としています。
実証実験の背景
札幌市では、旅費事務に関する制度が地方自治法や条例に基づいているため、それぞれの自治体で運用方法が異なります。このため、全国共通のシステムを導入することは容易ではなく、職員は手動で書類を確認することに時間を費やしています。特に、出張に伴う旅費の計算や承認プロセスは多段階にわたるため、効率化が急務とされています。
その中で、札幌市は2023年度から生成AIを用いた業務改善に取り組む姿勢を示しており、特に共通的な業務で影響が大きい旅費事務に焦点を当てました。既存の生成AIサービスでは、札幌市の旅費制度に完全には対応できなかったため、民間の両備システムズと共同で実証を行うことになりました。
実証内容の詳細
この実証実験では、職員による出張条件に基づいた出張行程案の自動作成、旅費の自動計算、審査業務の効率化を目指します。具体的には、以下の三つのAIエージェント機能が実装されます。
1.
出張行程プランニングエージェント:このエージェントは、職員が入力した出張の条件をもとに、札幌市の規程に準じた出張行程を提案します。これにより、出張行程の作成にかかる時間を削減し、起案内容の品質向上を図ります。
2.
旅費規程確認エージェント:このAIエージェントは、提案された出張行程が札幌市の旅費規程に沿っているかを評価し、宿泊費や手当など必要な項目の入力を提案します。
3.
旅費審査エージェント:このエージェントは、電子決裁基盤内の旅費申請を前もって審査し、承認者は申請内容の確認のみを行うことができるよう支援します。これにより、電子決裁の手間が省かれ、業務がスムーズに進むことが期待されています。
今後の展望と期待
実証実験の期間は2025年の12月上旬から2026年の3月下旬までの予定です。この実証を通じて、職員の負担軽減を実証し、得られた成果は今後の「公開羅針盤V4」システムへの対応につなげる方針です。
また、この知見を生かし、他の行政業務にも生成AIを適用することを考えています。これにより、札幌市の行政業務全体の効率化とサービスの向上を目指すことが期待されています。
会社情報
両備システムズは、公共や医療、社会保障の分野での情報サービスを提供している企業で、69年の設立以来、自治体向けの業務支援に注力してきました。最新の技術を活用し、今後もさまざまな課題解決を目指します。詳細は公式サイトをご覧ください。
株式会社両備システムズ 公式サイト
この実証実験は、札幌市と民間企業との新たな協働の形を描くものであり、今後のAI導入の方向性を示す重要な一歩となるでしょう。