製造業のAI活用
2026-03-16 14:34:48

荏原製作所、AIで製造業の暗黙知を継承するプロジェクト始動

荏原製作所が挑む知識駆動型DXプロジェクト



荏原製作所は、2026年3月1日から新たに「知識駆動型DXプロジェクト」を開始しました。本プロジェクトは、製造現場での「暗黙知」をAIエージェントによって形式知化し、新たな知識の蓄積を目指すものです。東京大学の梅田靖教授が提唱する「デジタルトリプレット」の概念を基にした、業務効率化だけでなく、組織が持つ知識自体を競争力の源泉として位置づける全く新しい試みです。

背景と目的


荏原製作所は1912年の創業以来、ポンプなど産業機械の製造で業界をリードしてきました。しかし、製造業は現在「労働力の大幅減少」や「技術の継承不安」という課題に直面しています。2025年版のものづくり白書によると、指導する人材の不足が最大の問題として浮き彫りになっており、熟達技術者の退職に伴う暗黙知の喪失が加速しています。このような課題を解決するため、荏原は独自の知識基盤の構築に着手しました。

プロジェクトの概要


知識駆動型DXプロジェクトでは、AIと人間が共に進化するための基盤を築きます。特に、デジタルトリプレット(D3)を活用した三層構造のシステムにより、現場の熟達技術者が持つノウハウや暗黙知をデジタル空間に繋げ、AIが自律的に知識を推論・継承できる「人間中心のDX」を実現します。

具体的なシステムの開発


本プロジェクトでは、2つの主要なシステムを開発しました。まずは「EBARA 開発ナビ」です。このシステムは設計・開発の思考プロセスを構造化し、暗黙知を含む知識を段階的に形式知として可視化します。そして「Ebara Brain」は、自律分散型のAIエージェント群で、現場にある知識を抽出・整理する役割を担います。これにより、知識のデータベース化を進めることができます。

加えて、Ebara Brainの概念実証では、商業施設の給水ユニットの設計プロセスの85%を形式知化しました。生成AIを用いた設計諸元間の関係性の予測では、精度83%を達成しました。これは、AIが人間のノウハウを組織全体の知的資産へと転換する可能性を示しています。

開発チームのビジョン


荏原製作所は、このプロジェクトが単なるAIツールの導入を越え、組織全体の知識構造を再構築することを目指しています。技監の後藤彰氏は「このプロジェクトは、100年以上にわたって積み上げてきた知識を次の100年へと引き継ぐ活動です」と語っています。

また、プロジェクトマネージャーの王宇坤氏は「我々の目標は、AIと人が共に進化する新たな知識経済圏を創造することです」と述べ、日本の製造業のDXをリードする意欲を示しています。

まとめ


荏原製作所の知識駆動型DXプロジェクトは、製造業が直面する大きな課題に立ち向かう試みです。AIの力を借りて伝統的な知識を現代に引き継ぐことで、持続可能な成長を実現し、さらなる企業価値の向上を目指します。このプロジェクトの成果に期待が高まります。


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会社情報

会社名
株式会社荏原製作所
住所
東京都大田区羽田旭町11-1
電話番号

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