教員たちのクラフトビール挑戦
愛知県名古屋市にある私立東海中学校・高校の現役教員たちが、新たなビジネスへの挑戦を始めています。彼らは、自ら設立した株式会社「Dragon Brewing」を通して、クラフトビールの醸造と販売に取り組むことになりました。この活動は、教育だけでなく、地域とつながる新しいビジネスモデルをも模索するものです。
教員の新たな挑戦
この活動の起点は2023年に設立された「ビジネス愛好会」です。教員たちは、生徒たちに正解のない課題解決の重要性を伝えるため、自らがその挑戦を体現することを決意しました。理科、英語、国語の教員からなるチームが、社会人も交え、一から新しいビールを作り出すことに挑戦しています。
特に注目すべきは、彼らが2024年3月に名古屋で行われた「Startup Dragon-Gate」で見事に優勝し、その結果として賞金を獲得したことです。この成功を受けて、教員たちはさらなるステップへと進みます。
女性や若者に魅力的なビールを目指して
現代のビール市場では、若者や女性のビール離れが進んでいます。そんな中、教員たちは甘めで軽め、そして健康に配慮したビールを求める声に応えるため、カットフルーツの残渣や摘果を利用したフルーツビールの製造を目指しています。そのため、島根県にあるマイクロ・ブリュワリー「石見麦酒」での醸造修行も行っています。
新たな教育の形を模索
Dragon Brewingは単なるビールの製造にとどまらず、新しい形の教育を提供することを目的としています。今日のVUCA時代において、リーダーシップや協働力、問題解決能力が求められる中、教育現場では依然として学力重視の傾向が続いています。そんな偏ったキャリア観を変えるため、教員自らが起業することで、本当のアントレプレナーシップを生徒たちに伝えようとしています。
ネットワークを活用した事業展開
この取り組みを可能にするためには、学校の保護者やOBとの強力なネットワークが大きな役割を果たしています。醸造所となる予定の物件も、学校行事で使用されていた写真館の社宅を改築したものです。この物件については、保護者に設計や建築を依頼し、地域全体で支える形が整っています。
また、会社のロゴ制作も関連する企業の保護者に依頼し、ビールの原料となるホップの実とタツノオトシゴをモチーフにしたデザインが仕上がりました。今後、ビールの販売先としては、保護者やOBが経営するレストランなどを検討しています。
醸造免許取得と今後の展望
6月には醸造免許の取得を目指し、来夏には彼らのフルーツビールを市場に投入する計画です。この新たな試みが、地域と教育現場にどのような影響をもたらすのか、期待が高まります。教員たちの挑戦がもたらす新しいビジネスモデルが、どのように展開されていくのか、目が離せません。
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