後継者不足が招く倒産の現実、企業経営への影響が懸念される

2024年度における後継者不在による倒産件数が507件に達しました。この数字は、企業経営において大きな問題を浮き彫りにしています。同時に、社長の高齢化が進んでいることも多くの企業にとっての深刻な課題となっているのです。この状況は一体どのように進行しているのでしょうか。

後継者難倒産の現状

後継者がいないために事業継続が困難となる「後継者難倒産」は、負債1000万円以上の企業において法的整理による倒産を指します。2024年度に発生した507件は、過去2年間で見られた高水準に位置しています。業種別に見ると、建設業が127件とその25%を占め、次いで製造業が88件、サービス業が87件となっており、後継者不足の影響が業種によっても異なることが分かります。

建設業界は、労働環境の厳しさから若年層が敬遠しがちで、結果的に後継者候補が不足するという悪循環が続いています。このような状況が続く限り、後継者難倒産の件数は減少しにくいのが現実です。

社長の高齢化とその影響

帝国データバンクの調査によると、2024年時点での社長の平均年齢は60.7歳となり、34年連続で上昇しています。このように社長の高齢化が進む中、後継者不在により倒産した企業の社長平均年齢はなんと69.4歳に及ぶ状況です。高齢になればなるほど、病気や死亡といった「不測の事態」に見舞われるリスクが高まります。

このような背景があるため、今後も後継者難倒産は高水準で続く可能性が高いと言えます。データベースに蓄積された情報をもとに、企業は早急に後継者選定と育成に取り組む必要があります。

M&Aの現状と支援

中小企業庁の調査によると、2022年度の中小企業向けM&A成約件数は4036件と増加傾向にあります。また、事業承継・引継ぎ支援センターの成約件数も1681件に達しました。近年、企業の事業承継に対する理解が深まり、M&Aを利用した解決策も増えています。しかし、後継者難倒産は今も根強く存在するため、さらなる対策が必要です。