全国の開業医523人が語るリアルな医療現場と未来
株式会社ギミックが発表した「開業医白書2025」では、全国の523人の開業医を対象に行った調査結果が公開されました。この白書は、病診連携やスタッフ採用など、地域医療の基盤となる様々な観点からデータを集約し、医療現場の現実を浮き彫りにするものです。
調査の背景と目的
「開業医白書」は、日本最大級のクリニック情報サイトを運営するギミックが、全国約3万人の医師への取材を通じて得た知見を活かして作成されたものです。その目的は、開業医が直面する問題や現状を明らかにし、医療関係者にとっての新たな知見を提供することです。また、地域医療の向上を期待しつつ、医師だけでなく患者や行政も巻き込んでいこうとしています。特に今回の調査では「連携」に焦点を当て、地域医療の現状とその課題について詳細に分析しました。
調査の結果
1. 開業医の連携実態
地域医療において、病診連携は非常に重要です。調査によると、開業医の約70%は「連携が取れている」と実感していますが、「非常に連携が取れている」と回答したのはわずか20%という結果でした。多くの開業医は連携の必要性を感じながらも、何らかの課題を抱えていることがわかります。特に、連携の困難さや不満点として「時間不足」や「逆紹介の不満」などの意見が挙がり、自ら積極的に行動している医師が少数派である現実が浮き彫りになりました。
2. 診診連携の現状
開業医同士の連携に関しても厳しい現実が浮かび上がっています。診診連携が「連携が取れている」と答えた医師は約46.6%ですが、「非常に連携が取れている」と感じているのはわずか8%でした。医師会活動を起点に連携を図ろうとする動きがあるものの、ライバル関係や交流機会の減少により個々の連携意識にバラつきが見られています。
3. 医療介護連携の実態
介護施設との連携状況はさらに厳しく、31.1%が「連携が取れている」と回答しました。背景には交流の機会が少ないことや、具体的な連携方法が不明確であるといった意見が挙げられ、介護と医療の融合が遅れている現実が浮かんでいます。
4. 開業医の悩み
スタッフ採用は開業医が抱える最大の悩みであり、54.5%がこの問題を挙げています。また、「集患や増患」が続く形で、多くの医師が経営面でも頭を悩ませています。昨今の医療DXの進展に対しては、導入コストや理解の不足から不安を感じている開業医が多く、新しい技術への適応が求められています。
5. 採用状況とプロセス
採用方法では、特に40代以下の若手医師が自院のホームページを活用している割合が見受けられました。従来のハローワーク依存から多様な採用方法へと移行していることが分かります。また、採用プロセスにおいては、書類選考を行わずに面接に重きを置く施設が多く、実働を重視した検討が進んでいます。
総評
今回の「開業医白書2025」は、地域医療の連携の重要性や課題を明らかにしました。医師同士の連携や介護とのつながりはまだまだ不十分であり、今後のコミュニケーション強化が絶対に必要です。また、スタッフ採用に関する柔軟な戦略やプロセスの改善が急務であることも浮き彫りとなりました。地域医療の未来を見据えて、様々な課題に取り組む必要があります。