救命現場に立ち会った人々を支える「バイスタンダーサポートサイト」
2024年9月9日に開設された「バイスタンダーサポートサイト」(以下、サイト)が、来る9月で開設から1年間を迎えようとしています。このサイトは、緊急時に救命現場に居合わせた方々の心のケアを目的とした、国内でも珍しい取り組みです。
バイスタンダーの課題
救命現場に居合わせた人を「バイスタンダー」と呼びますが、彼らはしばしば勇気を持って応急手当を施した後に「本当に正しかったのか」と自責の念に苛まれることがあります。また、行動できなかった自分自身を責めることもあるため、心に深刻な負担を抱えることがあるのです。このような心の問題は、一般的な心療内科では理解しにくい部分もあり、専門的なサポートが求められています。
このサイトでは、バイスタンダーとしての体験後に不安や悩みを抱える方々に向けて、60分間の無料オンラインカウンセリングを提供しています。実際に設立から約1年の間に寄せられた相談件数は11件に上り、相談者は20代から60代の幅広い年代にわたり、男女比もほぼ均等です。
実績と連携
現在までに、27の団体(消防や救命普及団体など)と連携しており、相互の協力を通じて、より多くの人々への支援を行っています。相談者から寄せられた声の中では、「同じ経験を持つ人に共感してもらえたことが心を救った」「一人ではないと実感できた」という感想も多く、これが心の回復に繋がっているとの結果が明らかになっています。
社会的意義と今後の展望
サイトの開設以降、心のケアの必要性がより一層認識されるようになりました。バイスタンダー経験者との対話が心の回復に繋がる一方で、彼らの家族や同僚もその対応について悩みを抱えることがあり、さらにサポートを必要としています。このような状況を受けて、救命に関わる多くの方から「メンタルサポートを学びたい」という要望が増えていることも注目すべき点です。
代表者のコメント
代表理事のすがわらえみ氏は次のように述べています。「救命現場で勇気を出して行動した人の“こころの安全”を守ることは、命を繋ぐ社会には欠かせません。これからも様々な団体と連携し、救命後に安心して相談できる場を提供していきたいと考えています。」
このように、バイスタンダーサポートサイトは、救命現場に立ち会った人々のメンタルヘルスを守り、彼らが安心して相談できる場を提供することによって、次世代の命を救うための重要な基盤を築いています。今後も多くの方々にサポートが行き渡るように、さらなる活動を期待しています。
お問い合わせ情報
本件に関する取材や相談者の感想を知りたい方は、NPO法人AQUAkids safety projectの救命事業部までご連絡ください。