不動産業界におけるSNS活用の現状と課題とは？

不動産業界がSNSを効果的に活用するためには、いくつかの現状と課題を理解することが重要です。株式会社いえらぶGROUPが実施した「住まい探しにおけるSNSの利用状況に関するアンケート調査」では、SNS運用に関する興味深いデータが得られました。調査対象は、エンドユーザー902名、不動産会社388名の合計1,290件です。

調査の背景

2023年7月に実施された前回の調査では、65.1%の不動産会社がSNSを運用していないという結果が得られました。その理由として最も多かったのは「担当できる社員がいない」というものでした。今回の調査でも、その数字は65.2%に留まり、SNSの活用拡大には依然として課題が残っていることが浮き彫りとなりました。

SNS運用の実態

調査結果によれば、現在SNSを運用している不動産会社は34.8%で、今後運用したいと考えている会社は72.2%にも上ります。このことは、SNSの重要性が不動産業界で認識されつつあることを示しています。特に、運用している不動産会社の中で人気のあるSNSはInstagramで、全体の約40.6%が利用しているという結果が示されています。

エンドユーザーの視点

ただし、エンドユーザーのニーズは少し異なります。住まい探しに利用したいSNSの1位として挙がったのがYouTube（30.8%）で、次いでInstagram（27.2%）、X（旧Twitter）（26.4%）という結果になりました。決してInstagramが劣っているわけではありませんが、YouTubeの活用が急速に広まっていることは注目に値します。特に、動画コンテンツが重要視される現代において、YouTubeは多くの世代にリーチできる力を持つSNSです。

SNS運用の人的資源

さらに、SNS運用を続けている不動産会社では、「広報・SNS担当者」の存在が不可欠であることが浮き彫りになっています。SNSを運用している会社の39.4%が「広報・SNS担当者」に頼っている一方で、運用をやめた会社ではこの割合が17.9%と低いことが明らかになりました。このことから、SNS運用を効果的に行うためには、専任の担当者を設けることが重要であることが分かります。

今後の展望

いえらぶGROUPの常務取締役、庭山健一氏は「不動産業界におけるSNS運用への関心が高まりつつあるが、人材不足が依然として課題である」と指摘しています。さまざまなSNSプラットフォームが存在する中で、それぞれの特性を活かした情報発信が求められています。

これに対処するためには、まず広報・SNS担当者の育成が急務と言えるでしょう。特に、動画やデジタルコンテンツの活用がますます重要視される中、適切なノウハウを持つ人材の確保が不動産市場にとっての鍵となります。