日本語指導が必要な子どもたちのための新たな支援策
NPO法人eboardは、特に日本語の習得が困難な外国につながる子どもたちや、読み書きに困難を抱える子どもたちを支援するための「やさしい日本語」化ツールの実証校を募っています。この取り組みは、生成AIを駆使して「やさしい日本語」への自動変換を実現するものであり、教育現場での実践を目指しています。
子どもたちの日本語学習を支援する必要性
近年、日本の教育現場では日本語指導が必要な外国につながる子どもたちの増加が顕著です。文部科学省の調査によると、2023年度には約69,000人に達し、過去10年間での最多数を記録しています。これらの子どもたちのために、具体的な支援や学習環境の整備が求められていますが、地域によって支援体制にばらつきがあり、日本語指導できる人材も不足しています。
このような背景の中で、「やさしい日本語」を使った情報発信が広まりつつあります。特に公共の場や外国人支援活動において、その必要性が増しています。このようなニーズに応えるべく、eboardが開発したツールが教育現場でも役立つことが期待されています。
生成AIを活用した「やさしい日本語」化ツールの概要
eboardは、2020年からICT教材を用い、約2,000本の映像授業に「やさしい日本語」の考え方を取り入れた取り組みを行っています。そして、生成AIを活用した自動変換ツールの開発を進め、この技術を教育現場での実践に活かすことを目指しています。
このツールの目的は、学校で使用されるプリントや指示、連絡事項を日本語を学習している子どもたちや、読み書きに困難を抱える子どもたちにも理解しやすく変換することです。将来的には、多言語に翻訳する機能も検討されており、さらなる支援が期待されています。
期待される効果
このツールは、特に以下のような子どもたちの支援に効果を発揮することが期待されています。
- - 外国につながる子どもたちで、日本語習得に苦労している子
- - 聴覚情報よりも視覚情報からの理解が得意な子
- - 読み書きに困難があり、文章理解にサポートが必要な子
ツールの活用が想定される学校や教育現場には、小学校、中学校、高等学校、特別支援学級、フリースクールや学習塾などが含まれています。特に外国人居住地域では、日本語指導が必要とされる児童が多く、支援が必要な現状があります。
2024年度での実証結果
2024年度の実証プロジェクトでは、実際に学校での活用例が報告されています。例えば、教員が作成した授業プリントを「やさしい日本語」に変換することで、児童の内容理解が向上した事例や、保護者とのコミュニケーションが円滑になった実績があります。このような成功例は、教育現場でのツールの有効性を示唆しています。
実証校の募集要項
eboardは2025年度の実証に向けて協力校の募集を開始します。以下に条件を示します。
- - 目的: 教育現場における「やさしい日本語」化ツールの効果検証とフィードバック収集
- - 対象: 全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、フリースクール、教育委員会など
- - 協力内容: ツールの利用、フィードバックへの協力、活用事例の共有
- - 提供内容: ツールの無償提供やサポート、研修機会
- - 応募方法: 定めた応募フォームから申し込み
NPO法人eboardについて
最後に、NPO法人eboardは「学びをあきらめない社会」を目指して、経済的理由や障害を持つ子どもたちに向けた学びの機会を提供しています。約2,000本の映像授業と多数のデジタルドリルを無料で提供し、多くの教育機関での利用が進んでいます。今後も、このような取り組みを通じて、多くの子どもたちの学びを支えていくことを目指しています。