創業80周年で再定義する神仏具、ハシモト清の挑戦
富山県高岡市に本社を構える株式会社ハシモト清は、1945年の創業以来、神仏具の製造・販売を行ってきました。この度、創業80周年を迎えるにあたり、同社は「神仏具」を再定義し、現代人の「心の拠り所」を築くための新たなステップに進むことを発表しました。
目を瞑ることで感じる「心の拠り所」
昔の日本の生活から学び直す
ハシモト清が目指すのは、日常的に目を閉じて誰かや何かとの繋がりを感じられる道具としての神仏具。祖父母の家に帰省した際に、仏壇の前で手を合わせた思い出は多くの人にあるでしょう。しかし、効率化が求められる現代において、そんな時間を確保するのは難しい現実もあります。そこで彼らは、仏壇や神棚の文化を再評価し、日常生活に戻すことが重要だと考えています。
80年間の歴史とその意義
戦後の激動の中での発展
ハシモト清は、終戦後すぐに祖父が創業し、地元の職人と共に美術銅器や仏具の製造を行いながら成長してきました。特に、仏壇は家族の絆を深める重要な存在として扱われていましたが、1980年代以降、洋風化の波により、その存在は希薄になってきています。いまや2024年には70%以上の家庭が仏壇を持っていないとされ、その文化は失われつつあると言えるでしょう。
新たな時代に向けた取り組み
日本的美意識の再構築
近年、欧米を中心に「SBNR(Spiritual But Not Religious)」という概念が注目されております。これは宗教には縛られず、スピリチュアルな側面を重視した人々の姿を反映しています。ハシモト清もこの流れに乗り、2024年12月からポッドキャスト番組「日本のものづくりと美しい生活」を通じて、日本的な価値観を再評価する取り組みをスタートします。この番組では、様々なジャンルで活躍するゲストを招き、人々の生活の中で心の拠り所となる存在を考えます。
新たな体験型ショップの計画
高岡市による地域との繋がり
2025年には、富山県高岡市の高岡關野神社の敷地内に、新たな体験型ショップがオープン予定です。このショップでは、訪れる人々がそれぞれの心の拠り所となる商品の発見や、体験を通じて心を癒やすことのできる空間を提供していきます。この取り組みは、高岡市がもつ地域独自の文化的背景を活かした新たな観光や文化の発信の場ともなるでしょう。
終わりに
ハシモト清の存在は、現代のライフスタイルに日本的な美意識を取り戻すための大きな柱となるはずです。これからも同社は、「心の拠り所」を提供し続けるために試行錯誤を重ねていくことでしょう。訪れる人々が再び心の安らぎを感じられるよう、地道に活動を続けていく姿勢が、新たな時代を迎える日本に必要な存在と言えるのではないでしょうか。